地球の磁場が揺らいだエドiacaran紀
約6億年前のエドiacaran紀、地球の大陸は現在の位置に固定される前の「漂流」状態にあった。しかし、当時の大陸配置を特定することは科学者にとって困難な課題だった。地球の磁場が不安定に振る舞っていたため、従来の磁気記録に基づく大陸位置の推定法では現実的でない結果が生じていたのだ。
バルティカ大陸の位置を巡る謎
特に注目されていたのが、現在のヨーロッパの一部を構成する「バルティカ大陸」の位置だ。研究チームは、バルティカの地殻が引き裂かれ、マグマが上昇してきた当時の岩石サンプルをノルウェー・エゲルスンで採取。これらの岩石に記録された地磁気の「スナップショット」を分析した。
岩石に刻まれた6つの磁気シグナル
分析の結果、研究者らは当初予想していたよりもはるかに複雑な岩石の様相を発見した。少なくとも6種類の磁気シグナルが混在していたのだ。そのうちの数種は、より新しい地質学的プロセスによって原岩が変化した際に形成されたものだった。エドiacaran紀に由来するとみられる3つのシグナルのうち、2つは当時の最も有力な推定位置(バルティカが赤道付近にあったとする説)とは異なる方向を示していた。
この矛盾は、エドiacaran紀における地球磁場の異常な挙動を裏付けるものであり、当時の地磁気の振る舞いがいかに謎に満ちていたかを物語っている。
新たな推定位置:バルティカは赤道付近に存在
研究チームは、エドiacaran紀におけるエゲルスンの古地磁気極を北緯20.8度、東経89.0度と特定。これにより、バルティカは赤道付近に位置していたことが示唆された。また、バルティカは当時の「ローレンシア大陸」の近くにあったが、従来の推定よりもわずかに時計回りに回転していた可能性が高いという。
古代の磁気記録を解読する重要性
この研究は、古代の岩石に保存された磁気シグナルの複雑さと、それらを詳細に分析することの重要性を示している。研究者らは、磁気記録を構成要素に分解することで、エドiacaran紀における地球磁場の謎に新たな光を当てることができると結論付けた。
「古代の岩石に記録された磁気シグナルを解析することで、エドiacaran紀の地磁気の挙動についての理解が深まる」