米シリコンバレー発のヘルステック企業カラーヘルスのCEO、オスマン・ララキ氏は、がん治療が直面する「スケーリング問題」を指摘する。新たな科学的知見が治療基準を更新し続ける一方で、がん患者の増加は専門医の数を上回り、医療費も膨張。その結果、最適な治療を受けられない患者が増加しているという。

ララキ氏はこの課題解決の鍵を「AI駆動のバーチャル医療」に見出す。「今後、主要ながんセンターはバーチャルを前提とした運営が主流になる」と断言する。

がん治療と聞くと、手術や放射線治療、点滴など「対面」が前提と考えられがちだが、カラーヘルスはバーチャルがん診療の実現に向け、多職種専門家による「バーチャル腫瘍ボード」を含むシステムを構築。同社はこのほど、米国臨床腫瘍学会(ASCO)から品質認証を取得したと発表した。

バーチャル診療でがん治療の質を維持

カラーヘルスの取り組みは、がん治療の「質」と「アクセス」の両立を目指す。具体的には、AIを活用した診断支援や、遠隔地の患者でも専門医の意見を迅速に取り入れられるバーチャル腫瘍ボードの運用が特徴だ。同社によれば、これらの仕組みにより、従来の対面型医療と同等以上の治療品質を確保できるという。

ララキ氏は「がん治療の未来は、地理的な制約を超えた医療提供にある」と述べ、特に rural(地方)や underserved(医療不足地域)の患者にとって、バーチャル診療が大きな恩恵をもたらすと強調する。

医療格差解消への期待

米国では、がん治療の専門医が都市部に集中し、地方や低所得層の患者が十分な治療を受けられない「医療格差」が深刻化している。カラーヘルスの取り組みは、こうした課題解決の一助となる可能性がある。同社は今後、AI技術のさらなる進化と、保険適用の拡大を通じて、がん治療の均てん化を目指す方針だ。

「がん治療の未来は、テクノロジーと人間の専門性の融合にかかっている。バーチャル診療はその実現に向けた重要な一歩だ」
オスマン・ララキ氏(カラーヘルスCEO)
出典: STAT News