HBO Maxの医療ドラマ「ザ・ピット」は、シーズン2で二番煎じの失敗を回避し、米国内で平均1620万人の視聴を獲得した。これはシーズン1比で57%増という驚異的な数字であり、同番組のシリーズ最高記録を更新した。
シーズン1の最終回と比較すると、シーズン2の視聴者数は実に2倍に達した。一方で、他の多くのストリーミング番組はシーズン2で視聴率の低下に苦しんでいる。例えば、Netflixの「ランニング・ポイント」シーズン2は初週で530万人の視聴にとどまり、シーズン1の初週930万人から大幅に減少。また、「ビーフ」シーズン2も初週で240万人の視聴にとどまり、Netflixの週間視聴ランキング最下位に甘んじた。ただし、同番組は2週目に410万人まで回復し、3位に浮上した。
「ビーフ」シーズン1は2023年に週間視聴ランキング3位にランクインしたが、Netflixが視聴 metrics の算出方法を変更したため、シーズン2との単純な比較はできない。
「ザ・ピット」が成功した理由
「ザ・ピット」の成功には、いくつかの要因が考えられる。まず、同番組は毎週のリリーススケジュールを採用しており、これが視聴者の定着につながっている。毎週新エピソードが公開されることで、ファン同士の議論が活発化し、新規視聴者にとっても参入しやすい環境が整っている。
Nielsenのデータによると、シーズン2の初回放送週には9億3900万分の視聴時間を記録し、その後も10億分を超える週が3週間続いた。その後は若干の減少が見られたものの、シーズン2初回放送週の水準を下回ることはなかった。シーズン2の12エピソード時点での視聴時間は12億1000万分に達し、シリーズ最高記録に迫っている。現時点で15エピソード中12エピソードのデータしか報告されていないが、シーズン2全体の視聴時間は83億分に達しており、2025年のシーズン1の総視聴時間114億分を上回る勢いだ。
さらに、「ザ・ピット」はシーズン2の放送と並行してシーズン1の再放送も行われており、新規視聴者の獲得につながっている。シーズン2開始以降、同番組の総視聴時間は132億分に達しており、これはシーズン1とシーズン2を合わせた記録だ。
他のストリーミング番組の動向
「ザ・ピット」は、HBO Maxの看板番組「ホワイトロータス」や「ジ・ラスト・オブ・アス」と同じプラットフォームで配信されていることも追い風となっている。しかし、毎週のリリーススケジュールはHBO Maxに限った話ではない。Peacockのリアリティ番組「ザ・トレイターズ」や「ラブ・アイランドUSA」も、毎週のリリースにより視聴者を増やし、シーズンを重ねるごとに人気番組へと成長している。
また、Disney+の「パラダイス」シーズン2も、主演のShailene WoodleyとSterling K. Brownの存在感により、シーズン2で視聴率を伸ばしている。このように、毎週のリリーススケジュールは、ストリーミング番組の成功に欠かせない要素となりつつある。
ストリーミング業界の課題
一方で、多くのストリーミング番組がシーズン2で視聴率の低下に苦しんでいるのも事実だ。Netflixの「ランニング・ポイント」や「ビーフ」に加え、他のプラットフォームでも同様の傾向が見られる。この背景には、視聴者の関心が新しいコンテンツに移りやすいというストリーミング業界特有の課題がある。
しかし、「ザ・ピット」の成功は、毎週のリリーススケジュールやシリーズの一貫性、そしてファンとの強い結びつきが鍵となっていることを示している。今後、他のストリーミング番組もこの成功モデルを参考にすることで、二番煎じの失敗を回避できるかもしれない。