オーストラリアの映画監督ダリオ・ルッソが贈る衝撃作『ザ・フォックス』が、2026年のサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)で世界初公開された。同作は、会話する動物たちを通じて人間の本質を描くダークコメディであり、自己改革よりも他人を変えようとする危険性を鋭く風刺した作品だ。

ルッソ監督はテレビシリーズ『イタリアン・スパイダーマン』やアクションシリーズ『デンジャー5』の演出を手掛けた経験を持ち、『ザ・フォックス』を自身の半自伝的な作品と位置付けている。監督は脚本、演出、編集、音楽までを一人で手掛け、その創作過程においては「オーストラリア人にとって馴染み深い話」と語った。

「私は生涯で何度も話すキツネに出会ってきました。残念ながら、その言葉に耳を傾けてしまったこともあります。その結果、私の人生は大きく狂いました。これはオーストラリア人にとって非常に身近な問題であり、今こそ公に語るべき時だと思います」とルッソ監督は述べた。

物語の核心:裏切りと変身の代償

物語の主人公ニック(演:Jai Courtney)は婚約者コリ(演:Emily Browning)にプロポーズするも、彼女が上司のデレク(演:Damon Herriman)と不倫関係にあることを知る。狩りの最中、ニックは話すキツネ(声:Olivia Colman)と出会う。キツネはコリを完璧な女性に変身させ、結婚にふさわしい存在にすると約束する。同時に、キツネはデレクの妻ダイアナ(演:Claudia Doumit)をも操り、裏切り続ける夫を再び愛するように仕向けるのだ。

リアルな動物表現と演技の融合

SXSWの会場では、ルッソ監督、エミリー・ブラウニング、クラウディア・ドゥーミットが登壇し、作品の裏側や動物の本能、そしてオルivia・コールマンの存在感について語った。ルッソ監督は、英国の野生動物センターで飼育されていたキツネ「フロ」をモデルに、実物そっくりのアニマトロニクスを制作。同作では、2人の操演者がキツネの目を、1人が首を、そして「棒を尻に入れて」体の動きを制御するという手法が用いられた。

「私は、動物たちがまるで剥製が命を吹き込まれたかのように感じられることを目指しました」とルッソ監督は語った。また、操演者の動きはコールマンの声優としての演技に合わせてモデリングされており、アフレコ用の代役ボイスを使わず、彼女の本物の演技を最大限に活かす工夫が凝らされた。

「私は早期の録音をポッドキャストのように聞いていました。オルivia・コールマンの声は、まるで努力していないかのような完璧さでした」
— エミリー・ブラウニング

ダイアナ役のクラウディア・ドゥーミットは、自身のキャラクターが「セラピーを必要としているが、決して受け入れない」と語り、その行動パターンを特定の動物に例えた。

「私はキャラクターに動物の特性を取り入れました。ダイアナはカササギのようです。彼女は常に光るものを追い求め、決して満足することがないのです」とドゥーミットは説明した。