カタール・ドーハ発 — 2022年ワールドカップでスペインを撃破し、世界を驚かせたモロッコ代表。その立役者の一人であるアシュラフ・ハキミは、今夏のワールドカップでも中心選手として活躍が期待される。
ハキミは、世界最高の右サイドバックの一人と称される選手だ。クラブと代表の両方でリーダーシップを発揮し、経験と冷静さを兼ね備えた存在として成長を遂げている。モロッコの黄金世代の一員であり、その実力は世界トップレベルのチームと互角に戦えるレベルにある。
戦術的な柔軟性と強固な守備力
モロッコ代表は、戦術的に非常に柔軟なチームだ。多くの相手に対しては、粘り強く段階的な攻撃を展開する一方で、強豪相手には低い位置でブロックを敷き、カウンターアタックを狙う戦術を得意とする。特に守備面では、コンパクトな陣形を保ちながら、素早い攻守の切り替えで相手を翻弄する。
ハキミは、その攻撃と守備の両面でチームに貢献する「ツーウェイプレイヤー」としての役割を果たす。欧州リーグで活躍するハキミは、スピードとテクニックを兼ね備え、攻撃時には素早く前線に上がり、守備時には迅速に後退して相手の攻撃を封じる。
データが示す圧倒的な存在感
昨シーズンのデータによると、ハキミは欧州の右サイドバックの中で「ワンツーの回数」が最も多かった選手の一人だ。これは、ハキミがボールを受け取った際に、素早く味方との連携プレーを展開し、攻撃の起点となる能力の高さを示している。また、そのスピードを活かしたカウンターアタックは、相手チームにとって非常に脅威となる。
「ハキミは、ボールを受け取った次の瞬間にはすでに相手の背後でプレーをしている。そのスピードと判断力は、他の選手とは一線を画す」と、サッカー分析プラットフォーム「Soccerment」は評価する。
2022年の歴史的勝利の再現なるか
2022年のワールドカップでは、モロッコ代表はラウンドオブ16でスペインを撃破するという歴史的な快挙を達成した。当時の戦術は、4-1-4-1の低い位置でスペインの攻撃を封じ、70%以上のボールポゼッションを許しながらも、スペインを1本のシュートオンターゲットに抑えた。その後のPK戦で勝利を収めた。
当時のモロッコ代表の戦術は、ソフィアン・アムラバートのボール奪取と、アゼディーン・ウナヒ、ハキム・ツィエクによるプレスが功を奏した。ハキミは、1対1の状況で相手を封じつつ、カウンターアタックの起点となる重要な役割を果たした。
今夏のワールドカップでも、この戦術は継承されており、モロッコ代表は再び「ダークホース」として注目を集めている。さらに、2022年以降に代表に加わったブラヒム・ディアス(元スペイン代表)は、ハードワークとラインブレイキングでチームに新たな攻撃オプションを提供している。
アフリカネイションズカップ2024での優勝で勢いを得る
モロッコ代表は、昨年開催されたアフリカネイションズカップ2024で優勝を果たした。当初はセネガルが優勝したと発表されたが、後にCAF(アフリカサッカー連盟)が審判ミスを理由に優勝をモロッコに変更。大会では圧倒的な強さを見せ、今夏のワールドカップに向けた勢いを高めた。
グループリーグでは、ブラジルと同組と予想されているモロッコ代表。しかし、ブラジルがかつての強さを失いつつある今、グループ首位も現実味を帯びてくる。戦術的な柔軟性とタレントの豊富さを誇るモロッコ代表は、世界一奪還への挑戦を本格化させている。
「モロッコ代表は、常に戦術的な柔軟性と強固な守備力で相手を翻弄してきた。ハキミを中心とした黄金世代の活躍で、今夏も新たな歴史を刻む可能性がある」
(サッカーアナリスト、アリ・ベンマジール)