次期ジェームズ・ボンド(007)の後任探しが本格化している。ダニエル・クレイグが2021年の「ノー・タイム・トゥ・ダイ」で降板してから数年、AmazonがEon Productionsから権利を買収して1年、そしてドゥニ・ヴィルヌーヴが新監督に起用されたことが発表されて数カ月。それでもなお、007の新たな顔探しは始まったばかりのようだ。
Amazon MGMはキャスティングディレクターにニナ・ゴールドを任命。ヴァラエティ誌を通じた声明でスタジオは、「キャスティングプロセスの詳細についてコメントする予定はありませんが、ファンの皆様には適切なタイミングでより多くの情報をお届けできることを楽しみにしています」と述べた。スタジオの特権として当然の発言だが、ファンには独自のキャスティング権もある。予算やスケジュール、フランチャイズ計画に縛られることなく、思いのままに候補を挙げられるのだ。
ここで紹介する5人の候補は、いずれも奇抜ながらも現実的な選択肢だ。ただし「現実的」という言葉には注意が必要だ。1962年の「Dr.ノー」以降、6人の男性俳優がボンドを演じてきた。Amazon MGMはEon Productionsではないが、同様の方向性を踏襲する可能性が高い。そもそもイアン・フレミングが描いたボンドは、イギリス帝国の鈍器のような存在であり、その性質は時代が進んでも受け継がれてきた。現代のボンド映画では、イギリスの植民地主義的・資本主義的利益のために殺戮を行うボンドの側面が薄められているが、Amazonが「ザ・ボーイズ」を制作する一方で、ボンドが植民地主義者であるという解釈を観客に与えたくないのも事実だろう。つまり、ボンドは再び白人英国人男性が務める可能性が高く、その前提で以下の候補を挙げる。
ジョージ・マッケイ
このリストの中で最も現実的な候補がジョージ・マッケイだ。伝統的なボンド像から見ると、2つの点で難がある。第一に髪の色が明るすぎること。第二に顔立ちが特徴的すぎること。これらが些細な不満に聞こえるかもしれないが、20年前のクレイグの起用に対する反応を調べてみれば、髪の色や耳の形についての不満が数多く見つかるだろう。その一方で、フレミングの小説ではボンドはホーギー・カーマイケルに似ていると描写されており、その顔はショーン・コネリーやピアース・ブロスナンよりも長く、耳は広い。さらにクレイグは、独特の容姿と冷たい目に込められた哀愁が、個性的なボンド像を作り出せることを証明した。マッケイはその条件を十分に満たしている。
2003年の「ピーター・パン」でロストボーイ役でデビューして以来、マッケイはインディペンデント映画で着実に実績を重ねてきた。代表作には「フェムメ」や「ザ・ビースト」があり、特に「1917」で広く知られるようになった。独立系映画からの起用は大きな飛躍だが、その演技力と存在感はボンド役にふさわしい素質を持っている。
ポール・メスカル
ポール・メスカルもまた、現実的な候補の1人だ。彼はイギリス人俳優として、ボンドのイメージに合致する外見を持っている。ただし、これまでのボンド像とは異なる新鮮さをもたらす可能性がある。メスカルは「アフター・ラブ」や「グリーン・ナイト」などの作品で注目を集め、その繊細な演技力と独特の雰囲気で知られている。ボンド役としての起用は、シリーズに新たな風を吹き込むかもしれない。
トム・ホランド
若手俳優のトム・ホランドも候補の1人だ。彼は「スパイダーマン」シリーズで世界的な人気を博したが、その若さとエネルギーはボンドの新たな解釈を可能にする。ホランドはアクションシーンにも慣れており、スーツ姿での演技も期待できる。ただし、年齢的な面では従来のボンド像から外れる可能性もあり、シリーズの方向性次第では現実的な選択肢となるだろう。
イドリス・エルバ
イドリス・エルバは、ボンド役として長年ファンから支持されてきた存在だ。彼の存在感と演技力は、シリーズに新たなダイナミズムをもたらすだろう。エルバは「ルーサー」や「ソウ」シリーズなどで知られる実力派俳優であり、ボンド役としての起用はシリーズのグローバル化にも貢献する可能性がある。ただし、これまでのボンド像とのギャップをどう埋めるかが課題となる。
ヘンリー・カヴィル
ヘンリー・カヴィルもまた、ボンド役として現実的な候補の1人だ。彼は「マン・オブ・スティール」や「ザ・ウィッチャー」などの作品で知られる実力派俳優であり、その容姿と演技力はボンド役にふさわしい。カヴィルはイギリス人俳優であり、これまでのボンド像との整合性も高い。シリーズに新たな息吹を与える可能性を秘めている。
いずれにせよ、ニナ・ゴールドのキャスティングによって誰がボンド役に選ばれるのか、ファンは今しばらく待つ必要がある。しかし、その間も独自のキャスティングを楽しむことはできるだろう。