米国の研究チームが発表した最新の研究によると、中年期(40代)の心肺機能が将来の寿命と健康寿命に大きな影響を与えることが明らかになった。心肺機能が高い人は、そうでない人に比べて寿命が平均3%延び、慢性疾患を発症するリスクが9%低下するという結果が示された。

この研究は、米国心臓病学会の公式学術誌「JACC」に掲載された。研究チームは、米国の「クーパー・センター縦断研究(CCLS)」に参加した24,576人(うち女性25%)を対象に、65歳未満で心肺機能を測定し、その後の健康状態を追跡調査した。参加者は健康な成人で、その後のデータはメディケアの医療記録を基に分析された。

心肺機能が健康寿命を左右するメカニズム

心肺機能とは、運動時に心臓と肺が酸素を効率的に供給する能力を指す。研究では、心肺機能が高い人は、心不全、虚血性心疾患、脳卒中、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、糖尿病、認知症、がんなど11種類の慢性疾患の発症リスクが低いことが判明した。特に、男性では健康寿命が2%延び、疾患数が9%減少するという結果が出た。

ニューヨーク市のレノックス・ヒル病院で救急医療医として勤務するロバート・グラッター医師(研究には不参加)は、「心肺機能が高い人は、健康的な食生活や禁煙、定期的な医療アクセスといった他の健康要因も優れている可能性がある」と指摘する。その上で、「心肺機能は長期的な健康の最も強力な指標の一つであるという、これまでの研究結果を裏付けるものだ」とコメントしている。

健康寿命を延ばすための具体的な方法

研究者らは、心肺機能を向上させるための具体的な方法として、以下のようなアドバイスを挙げている。

  • 有酸素運動の継続:ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、心拍数を上げる運動を週に150分以上行う。
  • 筋力トレーニングの併用:筋肉量を維持することで基礎代謝が向上し、心肺機能の維持につながる。
  • バランスの取れた食事:野菜、果物、全粒穀物、良質なタンパク質を中心とした食生活を心がける。
  • 禁煙と適度な飲酒:喫煙は心肺機能を著しく低下させるため、完全にやめることが望ましい。アルコールも過剰摂取を避ける。
  • 定期的な健康診断:早期に健康リスクを発見し、対策を講じることで慢性疾患の予防につながる。

専門家からのコメント

「この研究は、心肺機能が将来の健康状態を予測する重要な指標であることを改めて示した。誰もが日常生活に運動を取り入れることで、健康寿命を延ばすことができる」
チェン・ハン・チェン医師(米国心臓病学会認定心臓専門医、構造的心疾患プログラム医療ディレクター)

研究チームは、心肺機能の向上が単に寿命を延ばすだけでなく、より多くの年月を健康な状態で過ごすための鍵となることを強調している。今後、さらなる研究が進むことで、個々人に最適な運動プログラムの開発や、健康寿命の延伸に向けた具体的な戦略が提案されることが期待される。

出典: Healthline