フロリダ州マイアミ・デイド郡の麻薬取締官2人が、Netflixの警察スリラー映画「ザ・リップ」における描写が名誉毀損に当たると主張し、マット・デイモンとベン・アッフleckの制作会社を相手取り、提訴した。
2026年1月14日にフロリダ連邦地方裁判所に提出された訴状によると、原告のジェイソン・スミスとジョナサン・サンタナ両警官は、アーティスト・エクイティ(デイモンとアッフleckが2022年に設立した制作会社)と、同作の共同プロデューサーであるファルコ・ピクチャーズを被告として提訴。両者は「ザ・リップ」で主演とプロデューサーを務めている。
原告は、名誉毀損、暗示的名誉毀損、および故意の精神的苦痛の賠償を求めている。Netflixは被告に含まれていないが、同社の広報担当者はコメントを控えた。
実在の事件を基にした映画が招いた混乱
「ザ・リップ」は「実話に基づく」と宣伝されたが、原告によると、映画は2016年6月29日に行われた実在の麻薬捜査事件を大幅に参考にしながら、当事者の警官を汚職容疑者として描写したという。
実際の事件では、マイアミ・デイド警察が、マイアミ・レイクスの自宅の偽壁の裏に隠されたオレンジ色のバケツに、21,970,411ドルの現金を押収した。サンタナが主任捜査官、スミスが作戦指揮を執っていた。
原告は、映画がオレンジ色のバケツや特定の捜査手法など、事件の特徴的な要素を再現しながら、警官を犯罪者として描写したと主張。家族や同僚、検察官までもが映画や予告編を見て「どのキャラクターが自分たちなのか」や「バケツをいくつ隠していたのか」と尋ねる事態に発展したとしている。
映画に描かれた「捏造された汚職のストーリー」
訴状によれば、「ザ・リップ」は、押収した現金の横領、容疑者への虚偽供述、上司への証拠隠蔽、カルテルとの直接的な関与など、架空のストーリーを追加したとされる。さらに、同作では押収に関わった警官が同僚の殺害やDEA捜査官の殺害に関与するシーンも描かれている。
原告は、映画公開前の2025年12月に制作陣に対し、予告編やプロモーション素材が名誉毀損に当たるとして、差し止め請求書を送付していた。また、映画の監修に協力したマイアミ・デイドの警官が原告に連絡を取り、監督のジョー・カーナハンから謝罪と今後のプロジェクトへの協力オファーがあったと主張している。
デイモンとアッフleckの制作会社の背景
デイモンとアッフleckは2022年にアーティスト・エクイティを設立し、レッドバード・キャピタルから出資を受けた。アッフleckがCEO、デイモンがCCOを務めている。