2022年にディズニープラスで配信されたマーベルのドラマ「ムーンナイト」は、視聴者の間で賛否両論を巻き起こした。CGIを活かしたアクションと、解離性同一性障害という精神的な葛藤を描くという相反する要素が、視聴者を二分したのだ。主演のオスカー・アイザックの独特なイギリス英語の演技も話題となり、ファンの間で大きな議論を呼んだ。

同作の脚本を手掛けたジェレミー・スレーターは、当初はマーベルの制作チームと協力してドラマの開発を進めていた。しかし、後に行われたインタビューで、スレーターが「ムーンナイト」の制作から離脱した理由が明かされた。

クリエイティブな対立が招いた脚本家の離脱

スレーターは、自身のキャリア初期には「共同制作者からの意見や反応に反発していた」と語る。しかし、過去10年間のテレビ制作の経験を通じて、「コラボレーションこそが成功の鍵であり、自身の執筆スタイルを根本的に変えた」と振り返った。

さらに、スレーターは「ムーンナイト」の制作から離脱した具体的な理由についても言及した。

「マーベルや当時の関係者に対して、悪い印象や否定的な発言をしたくはありません。彼らは私にチャンスを与え、優秀な脚本家チームを編成する機会を与えてくれました。私たちが手掛けた作品には、本当に誇りを持っています。しかし、最終的に私はクリエイティブな方向性を巡る意見の相違により、プロジェクトから離脱することになりました。私と監督との間には、作品の方向性に対するビジョンの違いがありました。最終的に監督側のビジョンが採用されたため、私はプロジェクトを去る決断をしました。その後、監督は自身のチームを招集し、自身のビジョンに基づいたストーリーを完成させました。」

スレーターは、具体的に誰と対立したのかは明かしていない。しかし、ドラマの監督を務めたのはモハメド・ディアブ、ジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッドの3人であり、そのうちディアブが大半のエピソードを監督していたため、彼との対立であった可能性が高い。

マーベルの制作体制における脚本家と監督の役割

スレーターは、自身のマーベルでの経験について「伝統的なショーランナーの役割とは異なり、脚本家が全てを決定するわけではない」と説明した。また、現在の制作体制については「詳細はわからない」としながらも、多くの脚本家がマーベルの開発プロセスを経て成功を収めている一方で、脚本家と監督の組み合わせが常に上手くいくわけではないと述べた。

「脚本家と監督の組み合わせが上手く機能すれば、例えば「モータルコンバット2」のサイモン・マクォイド監督とのタッグのように、素晴らしい結果が生まれます。しかし、上手くいかない場合は、関係者全員にとって非常にストレスフルな経験となるでしょう。」