米国防総省のサイバー政策担当上級幹部は14日、先端人工知能(AI)モデルが「これまでの戦争の在り方を根本から変える革命的技術」になると表明した。従来の進化的な変化ではなく、戦争の本質そのものを一変させる「革命的な変化」であると強調した。

防衛体制の抜本的見直しを迫るAI技術

ポール・ライアン防衛総省サイバー政策担当副次官補は、米国防総省主催のサイバーレジリエンス朝食会で発言し、Mythosなどの最先端AIモデルの登場を「画期的な転換点」と位置づけた。同イベントはRubrikとFedScoopが共催した。

ライアン氏は「こうしたAIモデルは、米国防総省の攻撃・防御態勢を根本から変える」と述べ、特に「水、電力、コンピューティングといった重要インフラへの依存度が高い領域で、敵の領域内外を迅速に探索・攻撃できる能力」を強調した。

米国主導の技術開発がもたらす機会

同技術の台頭により、防衛総省は新たな課題に直面しているが、同時に「米国企業が開発を主導している点で大きな機会」でもあるとライアン氏は指摘。同省はこの技術に対し楽観的な見方を示していると述べた。

「率直に言って、私たちは今、必要な権限をどう整備すべきか、意思決定や運用にどう活用するかを模索しているところです。サイバー空間のスピード、規模、複雑性がAIによってどう変化するのか、適切な人材が検討を進めています」

一方で、米国防総省はMythosを「サプライチェーンリスク」と位置づけている。これは、AI開発企業Anthropicが防衛総省の指示に反し、Claudeモデルの軍事利用を拒否したためだ。しかし、防衛総省は依然としてMythosを活用し、サイバー脆弱性の探索に利用している。

サイバー戦の成熟と戦略転換

ライアン氏は、近年の紛争事例を挙げ、サイバー戦の成熟度が向上していると分析した。

「ベネズエラでは、サイバー攻撃を重層的に活用することで、兵士のリスクを低減しながらミッションの成功確率を高める条件を整えることができました。これは非動的(非殺傷的)効果と動的(殺傷的)効果を組み合わせた例です。現在のイランでも同様の動きが見られます」と語った。

また、ドナルド・トランプ前大統領のサイバー戦略では、悪意あるハッカーに対し「攻撃的な対応」を重視している点に触れ、ライアン氏は「米国のサイバー防衛はこれまで防御一辺倒だったが、これはもはや勝てる戦略ではない。サイバー空間全体で優位に立つ必要がある」と強調した。

米国防総省のAI活用戦略

米国防総省は、先端AI技術の軍事利用に関し、以下の課題と機会を整理している。

  • 権限の再定義:AIを活用したサイバー攻撃・防御に必要な法的・運用上の権限の整備
  • 意思決定の高速化:AIが生成する膨大なデータを迅速に分析し、戦略立案に活用
  • 重要インフラの保護:水、電力、通信などの基幹インフラに対するサイバー脅威のリアルタイム検知
  • 国際的な規範整備:AIを活用したサイバー戦のルール作りを主導し、米国の優位性を確保
出典: CyberScoop