時速100マイル(約160km)でコンクリートの壁に向かって突進する。そんな状況に直面した時、筆者の頭に浮かぶのは「1960年代の安全基準で設計された車に乗っている」という事実だった。この8年以上にわたり、筆者は米国北東部のサーキットで1978年式ダットサン280Zを走らせてきた。ウォトキンス・グレンやモスポートといった高速コーナーが多いコースでは、アウト側のランオフエリアが限られており、ちょっとしたミスが大きな事故につながるリスクが常にあった。

当初は「まだ若手で車の限界がわかっていなかった」という言い訳もあったが、年月が経つにつれ、万が一の事故に備えていない自分を病院のベッドで後悔するのではないかという不安が頭をよぎるようになった。ベンジャミン・ハンティング

そこで筆者は、冬の間を利用して、高速走行時の安全対策を検討し始めた。このダットサンはサーキット専用車ではなく、自宅近くの山道を走ることもあるため、車への出入りが容易で、日常的なリスクを増やさない安全装備を求めていた。

その結果、古典的スポーツカーの安全性を向上させる方法として、ロールバーの装着が比較的安価で簡単な解決策であることがわかった。これまでのプロジェクトと比べれば、はるかに取り組みやすい内容だった。

古典車の安全性の現実

古い車両は、衝突時の安全性という点で現代の車とは大きな隔たりがある。現代の車には、衝撃を吸収するクラムゾーンや、衝突時にエンジンを下に逃がすエンジンマウント、高強度素材で作られたキャビン保護構造などが備わっている。しかし、1990年代以前のスポーツカーの多くは、こうした安全機能とは無縁だ。

筆者の280Zもその典型例だ。車両重量2,500ポンド(約1,130kg)のうち、その多くは薄い金属製のユニボディと軽量な構造に由来する。例えば、フロントとリアのサブフレームは工場出荷時から接続されておらず、衝突時の衝撃に耐えられる構造になっていないことがわかる。また、屋根も主に雨風をしのぐためのもので、ロールオーバー時の構造的な強度はほとんど期待できない。

ロールバーがもたらす安全性の向上

こうした問題を解決する最も効果的な方法は、車内に新たな衝突耐性構造を追加することだ。具体的には、ロールバーの装着がその解決策となる。ロールバーは、車両が横転した際に乗員を保護するだけでなく、衝突時の車体の変形を抑制し、キャビンの空間を維持する役割も果たす。

筆者は、ロールバーの装着によって、サーキット走行時の安全性が大幅に向上するだけでなく、日常のドライブ時にも安心感が得られることを期待している。また、ロールバーのデザインや取り付け方法によっては、車の外観を損なうことなく、機能性と美観のバランスを保つことも可能だ。

今後、筆者は実際にロールバーを装着し、その効果や使い心地についてレポートしていく予定だ。古典車の安全性向上に関心のある読者にとって、参考になる情報を提供できることを願っている。

出典: Hagerty