カリフォルニア州知事選挙が本格化し、8人の主要候補が州知事の座を争っている。州のエンターテインメント業界にとって最も重要な争点の一つが、州内への映画制作誘致だ。CBSが主催したカリフォルニア州知事選挙討論会では、各候補が具体的な支援策を明らかにした。
候補者の多くは、州の税額控除プログラムの拡充を主張している。ヘッジファンド億万長者のトム・ステイヤー氏、元FOXニュース司会者のスティーブ・ヒルトン氏、サンノゼ市長のマット・マハン氏らは、州の税額控除を無制限にすることを提案。さらにヒルトン氏とマハン氏は、制作費のうち「上流費用(俳優や監督など)」と「下流費用(技術スタッフやスタッフ)」の両方を対象とすることを求めている。
一方で、労働組合は税額控除を下流費用に限定し、現場の雇用創出に直結させるべきだと主張。これに対し、スタジオ側は全米映画協会(MPA)を通じて上流費用も含めるようロビー活動を展開しており、ジョージア州やニューヨーク州との競争力強化を訴えている。
州内制作の減少と回復の兆し
州知事の交代が業界に与える影響が注目される中、前知事のギャビン・ニューソム氏はエンターテインメント業界との関係強化に取り組み、2期目には州の税額控除を3億3,000万ドルから7億5,000万ドルに倍増させた。しかし、それでも制作現場の流出は止まらず、ロサンゼルス郡における2025年の撮影日数は2024年から16%減少し、2万日を下回った。主要な映画・テレビ部門の撮影日数も5年平均を30%以上下回る水準に落ち込んでいる。
こうした状況の中、2025年にはカリフォルニア映画委員会がプログラムを拡大。年間上限の引き上げとストリーミング作品、アニメーション、シットコムなどの対象拡大を実施した結果、一時的な回復が見られた。同委員会は2025年に147件の映画・テレビプロジェクトを承認し、前年比で53%増加。また、フィルムLAによると、2026年第1四半期のロケ撮影日数は5,121日を記録し、前四半期比で10.7%増加したものの、前年同期比では3.3%減少した。
各候補の具体的な支援策
ステイヤー氏は今月、映画・エンターテインメント業界を強化する10項目の戦略を発表。ヘッジファンド創業者である同氏は、州の税額控除プログラムを無制限に拡大するだけでなく、連邦レベルでも税額控除を獲得するためにトランプ前大統領との交渉を進める意向を示した。
このほか、民主党の主要候補者は以下のような支援策を掲げている。
- スティーブ・ヒルトン氏:州税額控除の無制限化と上下流費用の対象拡大。また、州内のインフラ整備や労働力確保にも注力。
- マット・マハン氏:州税額控除の拡充に加え、若手クリエイター向けの奨学金制度創設を提案。
- ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏:環境規制とのバランスを重視しつつ、州内制作の促進を目指す。連邦税額控除の獲得に向けたロビー活動を強化。
- パトリック・ヘンリー・ブラウン氏:州税額控除の見直しと、中小制作会社への優先的な支援を主張。
今後の選挙日程と業界への影響
州知事選挙の予備選挙は6月2日に実施され、上位2名が11月の決選投票に進む。業界関係者は、選挙結果が州内の制作環境に与える影響を注視している。ニューソム氏の後任がどのような政策を打ち出すかが、ハリウッドの将来を左右する重要な要因となる。