名誉パルム・ドールを受賞したピーター・ジャクソン監督
第77回カンヌ映画祭2日目、ピーター・ジャクソン監督が名誉パルム・ドールを授与された。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」三部作や「ホビット」三部作で知られ、技術への造詣でも注目を集めている。
ジャクション監督はマスタクラスで、AI技術について「世界を破壊するかもしれないが、自分で使う分には全く嫌いではない」と発言。自身のビートルズドキュメンタリー「ザ・ビートルズ:ゲット・バック」でAIを活用した経験を踏まえ、「AIは特別効果の一種で、他の効果と何ら変わらない」と述べた。
AI技術を巡る議論
ジャクソン監督はAIが既存の芸術作品を学習することや、膨大なデータ処理による環境負荷についての懸念には触れつつも、「ゴラムのようなキャラクターやAI生成キャラクターが受賞する可能性は低い」と指摘。その一方で、人間の演技をAIで再現する技術については「人間のパフォーマンスそのもの」と評価した。
また、監督は新作「タンタン」の映画化に取り組んでおり、自身で監督を務める意向を明かした。さらに、かつてスティーヴン・スピルバーグ監督と「1本ずつ監督する」という約束を交わしていたが、15年以上経過しても実現していない現状について「非常に申し訳なく思っている」と語った。
ファスト&フューリアスが家族でレッドカーペットに登場
一方、レッドカーペットでは「ファスト&フューリアス」シリーズのチームが家族で登場し、エンジン音を轟かせるパフォーマンスで注目を集めた。同シリーズの監督を務めるジャスティン・リン監督は、家族との絆を強調しながら「このシリーズは家族の物語でもある」と語った。
レナーテ・レインズヴェが新作でカンヌに帰還
ノルウェー出身の女優レナーテ・レインズヴェが、ルーマニア人監督クリスティアン・ムンジウの新作「フィヨルド」でカンヌに帰還した。同作は、保守的な宗教的価値観を持つノルウェーの小さな町に移住したノルウェー人とルーマニア人のカップルを描くドラマで、保守派とリベラル派の価値観の衝突が描かれる。
レインズヴェは「The Worst Person in the World」や「Sentimental Value」でもカンヌに参加しており、今回も高い評価を得た前回の19分間に及ぶスタンディングオベーションについて振り返った。
技術と人間性のバランスを模索する映画界
ジャクソン監督の発言からも明らかなように、AI技術の進化は映画産業に新たな可能性をもたらす一方で、倫理的な課題も浮き彫りにしている。ファスト&フューリアスの家族的なアプローチや、ムンジウ監督の人間ドラマも、技術と人間性のバランスを象徴する存在と言えるだろう。