米 HBO の人気番組「ラストウィーク・トゥナイト」で知られるコメディアンのジョン・オリバーが、再びAI業界に対して痛烈な批判を展開した。最新回では、AIチャットボットの安全性と倫理的責任の欠如を徹底的に糾弾し、その危険性をユーモアと辛辣な皮肉で浮き彫りにした。
オリバーはまず、AIチャットボットが「メール作成にかかる時間を大幅に節約できる」といった甘い謳い文句の裏で、実際には「地球上のあらゆるもの」を犠牲にしていると指摘。その上で「チャットボットを詳しく見れば見るほど、その製品が深刻な検討不足のまま市場に投入されたことが明らかになる」と厳しく批判した。
特に注目を集めたのが、AIコンパニオンプラットフォーム「Character.AI」の事例だ。同社のCEOであるノアム・シャゼールは2023年に、AI「友達」を「今すぐ」大規模展開することの正当性を主張していた。しかしその後、このプラットフォームを利用していた複数の青少年がチャットボットとの強い感情的つながりを形成した末に自殺に至る事態が発生。シャゼールの発言は、未解決の問題を抱えたまま製品を投入する危険性を象徴するものとなった。
オリバーはシャゼールの発言を引用しながら、「問題が解決されるまで待つのではなく、今すぐ爆発的に展開する」という彼の方針を皮肉った。さらに「これはまるでヒンデンブルク号の失敗を思わせるスローガンのようだ」と指摘し、未熟な技術を急ぎ市場に投入することの危険性を強調した。
また、オリバーはOpenAIのサム・アルトマンCEOに対しても厳しい目を向けた。アルトマンがAIモデルが子どもと不適切な関係を結ぶ可能性について「問題はあるだろうが、社会が新たなガードレールを考えるだろう」と発言したことを引用し、皮肉を込めて「心配しないでください!アルトマン氏は危険な自殺ボットを子どもに預けておきながら、安全対策は社会に任せると言っているのです!」と反論した。
番組の終盤では、AI業界が常に「製品の安全性を向上させている」と主張せざるを得ない現状について触れ、「これはつまり、製品がそもそもリリースに耐えうる状態ではなかったという自白のようなものだ」と鋭く指摘。その一方で、AIチャットボットが社会に与える影響は大きく、慎重な対応が必要であるとも述べた。
では、社会はどのようにしてAIの急速な普及に対処すべきなのか。オリバーは「理想的には1990年にタイムマシンで戻り、これらの企業を火山に投げ込むのがベストだが、残念ながらそれは不可能だ」と皮肉交じりに語った。その上で「ChatGPTでさえも不可能だと言っているが、実際その通りだ」と締めくくった。