米国の歌手テイラー・スウィフトは、人工知能(AI)技術の台頭を受け、自身の声や外見を無断で使用されるリスクに対応するため、新たな法的措置を講じた。米国特許商標庁(USPTO)に対し、3件の商標出願を行った。

そのうち2件は音声商標で、具体的には「Hey, It’s Taylor Swift」と「Hey, It’s Taylor」というフレーズが対象となっている。3件目は画像商標で、ピンクのギターを持ち、虹色のボディスーツと銀色のブーツを着用したスウィフトが、紫色の照明が輝くステージ上でマイクの前に立っている様子が保護対象となる。

商標出願は、知的財産専門事務所Gerben IPにより発見され、TAS Managementと法律事務所Venable LLPの弁護士Rebecca Liebowitzを通じて申請された。これまでアーティストは、録音された音楽の無断使用に対して著作権法で対抗してきたが、AIは既存の録音を模倣するだけでなく、新たなコンテンツを生成することも可能となっている。

知的財産権専門弁護士のJon Gerben氏は、自身のブログで「スウィフトが特定のフレーズを商標登録することで、単に同一の複製だけでなく、『混同を招く類似』とされる模倣にも対抗できる可能性がある」と述べた。さらに「AIがスウィフトの声を使用した場合、登録商標に似た音声は彼女の商標権を侵害する可能性がある」と指摘した。

画像商標についても同様の目的があり、スウィフトが頻繁に着用するジャンプスーツやポーズまで保護することで、AIによって生成された偽造画像や改ざん画像に対する法的根拠を強化する狙いがある。

音声商標の例としては、Netflixの「tudum」サウンドやNBCのチャイム音が知られている。スウィフトの商標出願は、俳優マシュー・マコノヒーも同様の法的手段を講じたことに続く動きだ。マコノヒーはウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、AI時代において「同意と帰属を規範とする明確な所有権の境界を設定したい」と語った。

マコノヒーの商標には、 porchに立つ7秒間の映像、クリスマスツリーの前で座っている3秒間の映像、1993年の映画「Dazed and Confused」で使用された「Alright, alright, alright」というセリフの音声が含まれている。

Gerben氏は「テイラー・スウィフトとマシュー・マコノヒーの商標出願は、AI時代における商標法の新たな理論を模索するものだ」と述べた。

なお、Rebecca Liebowitz弁護士は、TheWrapの取材に対しコメントを控えた。

出典: The Wrap