第77回カンヌ映画祭も3日目に突入し、注目を集める上映作品や業界のトレンドが話題となっている。
「ティーンエイジ・セックス・アンド・デス」が初上映、観客を魅了
注目作「ティーンエイジ・セックス・アンド・デス Camp Miasma」が、2026年5月13日(水)に行われた「アン・シネマ・レアール」部門の初上映で、観客から熱烈な反響を得た。監督はA24の「I Saw the TV Glow」で注目を集めたジェーン・シェーンブルン氏。同作は、1980年代のスラッシャー映画へのオマージュと、トランスジェンダーの体験を描いた作品で、今夏にMubiから公開される予定だ。
主演はハンナ・アインビンダー、ジリアン・アンダーソン、エヴァ・ヴィクター、ザック・チェリー、サラ・シャーマン、ジャスミン・サヴォイ・ブラウン、ジャック・ヘイヴンが務める。物語は、映画監督(アインビンダー)が古くから続くシリーズ「Camp Miasma」のリメイク版を手掛け、元の映画で「ファイナルガール」を演じた孤高のスター(アンダーソン)を起用しようとするという内容だ。
カンヌ現地からの批評家ザカリー・リーは、「シェーンブルンの作品は、新しい価値観を受け入れるための招待状のようなもの。観客はその独特の世界観に引き込まれ、新たな視点を獲得するだろう」と絶賛。実際に、上映後には9分間にわたるスタンディングオベーションが起こり、アインビンダーは3分間にわたりキャストやスタッフへの謝辞を述べた。アンダーソンとシェーンブルンも同席し、上映前に作品を紹介した。
カンヌのスタンディングオベーション、その是非が議論に
一方で、カンヌ映画祭の恒例行事となっているスタンディングオベーションの在り方について、批評家のスティーブ・ポンド氏が疑問を呈している。かつてはノートとペンだけで済んでいたカンヌのレポートだが、今ではiPhoneのストップウォッチアプリが必須ツールとなっている現実を嘆く。
ポンド氏は、「スタンディングオベーションが4分以上続くと、それは作品の弱さの表れと見なされるようになった。観客が立ち上がって拍手するという行為が、カンヌの雰囲気を変えてしまった」と指摘。同氏は、過剰なスタンディングオベーションが映画の質を測る基準ではなくなっている現状を批判している。
AI活用の新プラットフォームがデビュー
カンヌ映画祭では、AI技術を活用した新しい映画製作プラットフォームも発表された。このプラットフォームは、脚本の自動生成や編集作業の効率化、さらには観客の嗜好に合わせたパーソナライズドな上映体験の提供など、映画製作の未来を切り拓く可能性を秘めている。
業界関係者の間では、AIがクリエイティブなプロセスを支援する一方で、人間の感性や独創性がますます重要視される時代の到来に注目が集まっている。