米メディア界の重鎮、バロン・アレン氏率いるアレン・メディア・グループ(AMG)が、破綻寸前の BuzzFeed を買収し、同社の再建に乗り出した。アレン氏は 120 億ドル(約 1,800 億円)の投資を発表、そのうち 20 億ドルを前払いで支払い、残り 100 億ドルは 5 年後に支払う約束手形で構成される。同社の株式 52%を取得し、経営権を掌握する形だ。

買収の背景:BuzzFeed の苦境と新戦略

BuzzFeed は過去 5 年間で株価が 96.6% 下落するなど、経営不振が続いていた。同社は 3 月に「事業を圧迫する既存の負債」を理由に戦略的選択肢を模索していると発表していた。アレン氏は今回の買収を機に、無料ストリーミング「スーパーアプリ」の展開を軸とした再建プランを打ち出した。

同アプリには BuzzFeed と Huffington Post のコンテンツが統合され、AMG 傘下のローカルニュース・天気・スポーツ・交通情報プラットフォーム「LocalNow」と連携。さらに 3 万本以上の映画・ドラマ、約 1,000 チャンネルの FAST(Free Ad-Supported Streaming TV)サービスも提供される予定だ。

「BuzzFeed と HuffPost は素晴らしいブランドで、何百万人もの忠実なユーザーがいる。しかし、ストリーミングやハイパーローカルなサービスという観点では、まだ実現できていない。この 2 つを組み合わせれば、特別なものが生まれるはずだ」
— バロン・アレン氏(TheWrap とのインタビューより)

AI とポッドキャスト、そして新たな収益モデル

アレン氏は、BuzzFeed の AI 戦略を強化するため、同社の CEO を退任するジョン・ペレッティ氏を新 AI 社長に起用。ペレッティ氏は AI を活用したコンテンツ集約・キュレーションを主導し、AMG の既存サービス「LocalNow」の強化を図る。同プラットフォームは現在、1 日に 50 万件のコンテンツをアップロードしており、AI による高速処理が特徴だ。

さらに、アレン氏はポッドキャスト分野への大規模投資を計画。BuzzFeed の人気番組「Comics Unleashed」を「ザ・レイトショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア」の後継枠に起用するなど、コンテンツの多角化を進める。

収益モデルについては、YouTube のようなクリエイターとの収益分配システムの導入を検討。アレン氏は「クリエイターが億万長者になる時代が来る。BuzzFeed、HuffPost、LocalNow、そして Grio は、クリエイターがコンテンツを投稿し、収益化できるプラットフォームとなるだろう」と語った。

人間によるジャーナリズムと未来の展望

アレン氏は AI の活用に積極的ながらも、人間によるジャーナリズムの重要性を強調。BuzzFeed と HuffPost がケーブルテレビ向けのシンドicated 番組を制作する可能性にも言及した。

「HuffPost には優秀な人材がいる。彼らが成長できるよう支援したい。才能ある人材がいれば、全力でバックアップする。私は人間によるジャーナリズムが大好きで、AI はそれを支えるツールに過ぎない」と述べた。

アレン氏の戦略は、AI やストリーミング技術を活用しつつも、人間のクリエイティビティとジャーナリズムを重視する「ハイブリッド型メディアモデル」と言える。BuzzFeed 再建の行方に注目が集まる。

出典: The Wrap