AIとの向き合い方を問う審査員たち
第79回カンヌ映画祭が開幕し、初日の舞台裏では様々な議論が巻き起こった。審査委員長を務める韓国の名匠、朴贊郁監督のもと、審査員を務めるデミ・ムーアはAIについて率直な見解を示した。
「AIはすでに現実のものです。抵抗するのではなく、どう共存するかを考えるべきです。AIとの戦いは負け戦に終わるでしょう。創造性の核心を奪うことなく、むしろ活用する道を模索すべきです」
(カンヌ映画祭記者会見にて)
ムーアはさらに、自己規制が芸術の本質を損なう可能性を指摘。表現の自由を重視し、検閲に反対する立場を明確にした。
ガザ情勢への支持表明と物議を醸す発言
審査員のポール・ラバティは、ケン・ローチ監督作品の脚本を手掛けた経歴を持ち、ガザ情勢へのハリウッドスターの発言を強く支持した。
「サンドラ・ブロック、ハビエル・バルデム、マーク・ラファロといったスターが、ガザにおける女性と子どもの虐殺に反対しただけでブラックリストに載せられるとは。恥ずべきことです。彼らこそが真の良心であり、尊敬すべき存在です」
(カンヌ映画祭記者会見にて)
ラバティは冗談交じりに「スターがポスターに起用されているからといって、映画祭が爆撃されるわけではない」と発言し、会場を笑いに包んだ。しかしその裏には、ハリウッドにおける言論の自由への圧力に対する強いメッセージが込められていた。
審査員陣の顔ぶれ
今年の審査員には、以下の面々が名を連ねている。
- 朴贊郁(審査委員長、韓国監督)
- デミ・ムーア(女優)
- ローラ・ヴァンデル(ベルギー人監督)
- クロエ・ジャオ(第94回アカデミー賞監督賞受賞者)
- ルース・ネガ(女優)
- ポール・ラバティ(脚本家)
ハリウッド不在の波紋
一方で、例年よりもハリウッドスターの姿が少ないことも話題となった。政治的発言が物議を醸す中、多くのスターが参加を見合わせた可能性が指摘されている。開幕初日から、今年のカンヌ映画祭が単なる映画の祭典にとどまらない、社会的な議論の場となっていることが浮き彫りになった。