トランプ家信託、ビットコイン関連株に3億6000万ドル超を投資
米政府倫理局に提出された財務開示書類によると、ドナルド・トランプ前大統領の家族信託が、2026年の第1四半期にビットコイン関連企業の株式を大量に購入していたことが判明した。同期間中の取引は3,600件以上に上り、総額は2億2000万ドルから7億5000万ドルに及ぶとされる。
この動きは、トランプ政権がデジタル資産に対してより支援的な姿勢を示している時期と重なっており、倫理上の懸念を招いている。
主な投資先:コインベース、ビットコインマイニング企業など
開示書類によれば、信託は米最大の暗号資産取引所であるコインベースの株式を9回購入。最大の取引は2月10日に行われ、10万ドル超25万ドル以下の規模だった。このほか、大手ビットコインマイニング企業MARAホールディングスや、大量のビットコインを保有するストラテジーの株式にも投資していた。
ストラテジーはビットコイン価格の変動に連動する傾向があり、株式市場における暗号資産の代替指標と見なされている。信託は同社のクラスA株式について、8件の取引(購入と売却の双方)を行っており、最大の購入額は5万ドル超10万ドル以下、1月には5万ドル以下の売却も記録した。この動きは、受動的な保有ではなく、積極的な運用を示唆している。
このほか、暗号資産取引プラットフォームを展開するロビンフッドや、決済・ブロックチェーン分野で事業を展開するソフィテクノロジーズ、ブロックなどの株式も保有していた。
ポートフォリオ全体の動向
暗号資産関連の取引は、信託のポートフォリオ全体のごく一部に過ぎない。同ポートフォリオには、NVIDIA、マイクロソフト、アップル、アマゾン、ボーイングなどの大手テック・ハイテク企業も含まれ、個別の取引額は最大500万ドルに達するケースもあった。3月の地政学的緊張を受けた売り込みからの市場反発により、多くの保有銘柄で大きな利益が出たとみられる。
なお、これらの取引がトランプ氏の指示によるものかどうかは明記されていない。トランプ氏の資産は息子らと外部のブローカーによって管理される家族信託に置かれており、倫理規則では取引の開示が義務付けられているが、現職大統領による株式の保有や取引自体は禁止されていない。
暗号資産規制法案の審議と民主党内の分裂
今回の開示は、米上院銀行委員会が暗号資産市場の構造を規定する包括的法案「デジタル資産市場明確化法(Digital Asset Market Clarity Act)」を15対9の賛成で可決した直後のことだ。同法案は、消費者保護やマネーロンダリング防止策を巡り、民主党内で意見が分裂している。
法案の審議では、民主党のエリザベス・ウォーレン議員らが消費者保護や不正資金流用防止策の不備を指摘する一方で、超党派の議員団が分散型金融(DeFi)に関する妥協案を支持。進歩派議員は、同法案がマネーロンダリング対策や証券規制の抜け穴を生むと警告した。
この動きは、暗号資産政策を巡る米国の政治的分断を浮き彫りにしており、トランプ政権の支援的な姿勢が規制環境の変化に与える影響についても注目を集めている。