アブダビの主権ファンド「ムバダラ・インベストメント・カンパニー」は、ブラックロックのビットコインETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」の保有シェアを16%拡大し、2026年3月31日時点で1472万1917株(時価総額5億6561万6051ドル)に達したと発表した。これは、2025年12月31日時点の1270万2323株から大幅に増加したもので、同ファンドのビットコイン投資が着実に拡大していることを示している。
ムバダラのビットコイン投資の拡大経緯
ムバダラは、2024年12月に初めてビットコインへの投資を公表して以来、一貫してIBITの保有を増やしてきた。2025年3月時点では872万6972株(時価4億850万ドル)だった保有数は、同年12月には1270万2323株(時価6億3060万ドル)にまで拡大。今回の1472万1917株は、前四半期比で200万株以上の増加に相当し、3四半期連続で時価総額5億ドルを超える規模となった。
ムバダラの投資戦略と背景
ムバダラは、技術、ヘルスケア、インフラ、プライベートエクイティ、公募株式などにまたがる3300億ドル超のグローバルポートフォリオを運用しており、アブダビ政府の財政基盤多様化を目指す使命を担う。その中で、規制されたIBITを通じたビットコイン投資は、同ファンドの主要な公募株式ポートフォリオの一つとなっている。
2024年12月時点では、IBITはムバダラの保有銘柄の中で、アーム・ホールディングスに次ぐ第2位の規模だった。
アブダビにおけるビットコイン投資の広がり
ムバダラに加え、アブダビ投資庁(ADIC)傘下の投資ファンド「アル・ワルダ・インベストメンツ」もIBITへの投資を拡大している。同社は2025年末時点で820万株(時価約4億800万ドル)を保有しており、ムバダラと合わせた保有額は10億ドルを超える。これは、湾岸協力会議(GCC)諸国の主権ファンドによる規制ビットコイン商品への参加として、画期的な出来事と位置付けられる。
世界的な機関投資家の動向
今回のムバダラの発表は、機関投資家や政府によるビットコインへの関心が高まる中で行われた。米大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、IBITを含む暗号資産への総額約23億6000万ドルのエクスポージャーを公表。また、ジェーン・ストリートは2025年末時点でIBITの2030万株(時価7億9000万ドル)を保有していた。
主権ファンドに限らず、米テキサス州は2026年初めに戦略的準備金としてビットコインを初めて購入した米国初の州となった。さらに、トランプ家の信託ファンドが2026年1四半期にコインベース、MARAホールディングス、ストラテジーなど複数のビットコイン関連企業に対し、2億2000万ドルから7億5000万ドル規模の株式取引を行っていたことも明らかになった。これは、米国の政策が暗号資産に対してより寛容な方向にシフトしていることを反映している。
「ムバダラのビットコイン投資は、規制された市場を通じた主権ファンドの新たな資産クラスへの参入として注目される。アブダビの取り組みは、湾岸地域における暗号資産の受容を加速させる可能性がある。」