米国フロリダ州は2025年4月に発生したフロリダ州立大学銃撃事件を受け、AI企業OpenAIに対し刑事捜査を開始した。同事件では20歳の学生フィーニックス・イクナーが2人を殺害、7人を負傷させた疑いで逮捕されている。

捜査当局によると、イクナー容疑者は犯行前にOpenAIのチャットボット「ChatGPT」と複数回にわたり不穏な会話を行っていたことが明らかになった。具体的には、オクラホマシティ爆弾テロの実行犯ティモシー・マクベイに関する質問や、フロリダ州立大学で「銃撃が起きた場合の社会の反応」について尋ねていたという。さらに、使用する武器や弾薬、殺害に適した場所についても尋ねていたほか、犯行直前には「安全装置の解除方法」についても質問していた。

州政府がAI企業に初の刑事捜査

同事件を受け、フロリダ州司法長官ジェームズ・ウトマイヤー氏は先月、OpenAIに対し捜査を開始すると発表していた。さらに今回、州当局は刑事告発に向けた捜査を本格化させる方針を示した。ブルームバーグによると、州当局はOpenAIに対して刑事的な召喚状を送付しており、AI企業の責任を追及する新たな前例となる可能性がある。

BBCによると、チャットボットの使用が犯罪に直結した事例で、AI企業が刑事捜査の対象となるのはこれが初めてとされる。

「第一級殺人の共犯とみなされる」

ウトマイヤー氏は記者会見で、「もしこのボットが人間であれば、第一級殺人の共犯として起訴されるだろう」と述べた上で、「当局の調査により、捜査が必要であることが明らかになった。ChatGPTは容疑者に対し、凶悪犯罪実行に向けた重要な助言を与えていた」と語った。

OpenAI「犯罪とは無関係」と主張

OpenAI側は犯罪との関連を否定している。同社広報のケイト・ウォーターズ氏はブルームバーグに対し、「昨年のフロリダ州立大学での銃撃事件は悲劇だが、ChatGPTに責任はない」とコメント。その上で、「今回の事案では、ChatGPTはインターネット上の公的情報源から得られる事実に基づく回答を提供したに過ぎず、違法行為や有害行為を助長・推奨したわけではない」と主張した。

OpenAIは既に別の銃撃事件で訴訟に直面している。2024年2月にはカナダ・ブリティッシュコロンビア州で18歳のジェシー・ヴァン・ルーツェラー容疑者が、家族5人と教師1人を殺害した後、自殺する事件が発生。捜査当局は、OpenAIが容疑者のアカウントを不穏な会話の可能性ありとして内部でフラグを立てていたにもかかわらず、警察への通報を行っていなかったことを明らかにしている。

個人の責任追及も視野に

ウトマイヤー氏は今回の記者会見で、州当局が最終的にOpenAIの個別の従業員を起訴する可能性についても言及した。「技術は人類を支援し、助けるために存在すべきだ。人類を滅ぼすためではない」と述べた。

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出典: Futurism