リスボン(ポルトガル) — 2025年4月21日、ノーベル経済学賞受賞者でニューヨーク市立大学大学院教授のポール・クルーグマン氏は、リスボンで開催された国際会議にて、トランプ前米大統領のイラン政策が米国に与えた意図せざる結果について分析を行った。
クルーグマン氏は、トランプ政権が2018年にイラン核合意(JCPOA)から離脱し、制裁を強化したことで、イランが核開発を再開せざるを得なくなった経緯を振り返った。その結果、米国は中東における影響力を低下させ、逆に中国やロシアといった競合国がイランとの関係を深める機会を得たと指摘した。
経済的な打撃も深刻で、クルーグマン氏は、米国の制裁がイラン経済を混乱させた一方で、欧州諸国やアジア諸国がイランとの貿易を継続したことで、米ドルの国際的な優位性が徐々に揺らぎつつあると述べた。特に、イランが中国との貿易決済に人民元を使用する動きが加速している点を強調した。
米国の外交戦略の課題
クルーグマン氏は、米国が単独行動主義的な政策を続けることで、同盟国との関係が悪化し、国際的な信頼を失いつつあると警告した。「制裁は強力なツールだが、使い方を誤れば、米国自身が孤立するリスクを高める」との見解を示した。
また、米国がイランとの対立をエスカレートさせる一方で、中東地域の安定化に向けた具体的な戦略を欠いている点も指摘。「米国は軍事的圧力だけでなく、外交的・経済的なインセンティブを組み合わせた包括的なアプローチが必要だ」と語った。
今後の展望と提言
クルーグマン氏は、米国がイラン政策を見直すべき時期に来ていると主張。「イランとの対話を再開し、核合意の再建に向けた交渉を進めることが、中東の安定と米国の国益につながる」と述べた。さらに、米国が同盟国との連携を強化し、中国やロシアに対抗するための新たな枠組みを構築する必要性を強調した。
「トランプ前大統領の政策は、米国にとって短期的な勝利をもたらしたかもしれないが、長期的には米国の国際的な立場を弱体化させた。これは、政策立案者にとって重要な教訓となるだろう。」
— ポール・クルーグマン