米司法省は2025年4月28日、フロリダ州在住の元ランサムウェア交渉人が、自身が交渉を担当していた米企業に対し、共謀者と共にランサムウェア攻撃を実行し、身代金を要求したとして有罪を認めたことを発表した。

アンソロ・ジョン・マルティーノ3世(Angelo John Martino III、41歳)被告は、2023年にランサムウェア交渉人として勤務していたDigitalMint社の顧客企業5社に対し、共謀者と共にランサムウェア攻撃を仕掛け、身代金を要求した疑いで起訴された。マルティーノ被告は、交渉人として得た被害企業の内部交渉状況や保険契約上限額などの機密情報を共謀者に提供し、最大限の身代金獲得を支援していたという。

DigitalMint社はマルティーノ被告の関与を一切認知しておらず、2025年4月に司法省から調査を通知された後、即日解雇した。

被害企業の内訳と身代金額

  • 非営利団体:約2680万ドル
  • 金融サービス企業:約2570万ドル
  • ホスピタリティ業界、小売業、医療業界の各企業(詳細は非公開)

これら5社すべてが身代金を支払ったとされる。マルティーノ被告は、ケビン・タイラー・マーティン(Kevin Tyler Martin)(元DigitalMint交渉人)およびライアン・クリフォード・ゴールドバーグ(Ryan Clifford Goldberg)(元セキュリティ企業Sygnia社のインシデント対応マネージャー)と共謀し、2023年4月から11月にかけて、別の5社の米企業に対し、BlackCat(別名ALPHV)ランサムウェアを展開した疑いも持たれている。

マーティン被告とゴールドバーグ被告は2024年12月にそれぞれ有罪を認め、2025年4月30日に量刑判決が予定されている。

検察のコメント

「マルティーノ被告の顧客は、ランサムウェアの脅威に対応し、被害を最小限に抑えるために彼を信頼していた。しかし、彼は顧客を裏切り、自らランサムウェア攻撃を実行し、サイバー犯罪者を支援することで、被害者、自身の雇用主、そしてサイバーインシデント対応業界全体に甚大な被害を与えた」
—A. タイセン・デュヴァ(A. Tysen Duva)司法次官補(刑事局)

交渉チャットが明かす裏切りの実態

マルティーノ被告の有罪を裏付ける証拠として、司法省は被告と共謀者、被害企業との間で交わされたチャット記録を公開した。その中で被告は、ある被害企業の保険会社について「小規模な口座しか承認しない」と共謀者に伝え、さらに「こちらの提案を拒否し続ければ、最大支払額が分かった時点で知らせる」と発言していたことが明らかになった。

DigitalMint社はマルティーノ被告の有罪認めに関するコメント要請に対し、回答していない。

出典: CyberScoop