米司法省は11日、全国の選挙人名簿収集に関する法的根拠を示す文書を発表した。同文書は、州の選挙管理が主権に属する一方で、連邦政府が選挙資格の審査に積極的に関与する正当性を主張している。しかし、この立場はこれまで複数の連邦裁判所で否定されてきた経緯がある。

同文書は、1960年の公民権法第5編に基づく根拠を示している。同法では、選挙担当官に対し、選挙から22カ月間、選挙人名簿を保管し、公民権侵害の可能性を調査する義務を課している。司法省は、この保管義務が、検察総長に対し、州から選挙人名簿の写しを「書面による要求」に基づき入手する権限を与えると解釈している。

さらに、同文書は、2002年の「アメリカ選挙支援法」、1993年の「全国選挙登録法」、1965年の「選挙権法」など複数の連邦選挙法も根拠として挙げている。これらの法律は、州に対し、投票システムの近代化や安全性向上(アクセシビリティの改善を含む)、不正登録者の削除などを義務付けていると主張している。

また、同文書は、州の選挙人名簿に不法滞在者が含まれる可能性があれば、連邦政府が全国的なデータ収集と移民当局との情報共有を実施する正当性があると指摘している。文書には「不法滞在者は選挙権を有しないため、州の選挙人名簿に不法滞在者が含まれることは、これらの一般的に適用される法律の対象となる」と記されている。

しかし、複数の連邦裁判所はこの主張に反対し、司法省と国土安全保障省による州への強制を求めた訴訟を相次いで却下してきた。また、州当局は再集計や監査、調査、訴訟を通じて、米国の選挙で実際に投票した不法滞在者の数が極めて少ないことを繰り返し確認している。

専門家や州当局から「紙切れ同然」との批判

選挙イノベーション研究センターのデイビッド・ベッカー代表は、BlueSkyへの投稿で「現職大統領任命の判事を含む6つの裁判所が、この「法的意見書」を紙切れ同然と評価している」と述べた。ベッカーは元司法省公民権局の上級検事であり、連邦政府やホワイトハウスに州の選挙登録を審査する憲法上の権限がないと一貫して主張してきた。

バーモント州務長官のサラ・コープランド・ハンツァス氏も同様の見解を示した。同氏はCyberScoopの取材に対し、「紙切れ同然だ。41ページのファンタジーを保存・送信する電子データにすら値しない」とコメントした。

州当局は連邦政府の要求を拒否

選挙担当者の多くは、連邦政府の要求に抵抗している。ウェストバージニア州務長官のクリス・ウォーナー氏は今年初めのインタビューで、「州の選挙人名簿は誰でも500ドルで購入できる。個人情報は提供しない」と述べ、連邦政府の要求に応じる意向がないことを明確にした。

出典: CyberScoop