ICE、スマートグラス開発で新たな監視技術を模索

米国移民税関執行局(ICE)は、顔認識アプリ「Mobile Fortify」を補完するスマートグラスの開発を検討している。同アプリは、現場の捜査官が対象者の顔をスキャンし、市民権の確認やデータ照会を行うツールだ。米国土安全保障省(DHS)関係者が明らかにした。

スマートグラスでリアルタイム情報アクセスを実現

ICEのローレンス・エリストン補佐官(法執行システム分析部門)は、スマートグラスの開発目的を「Mobile Fortifyの機能を補完するため」と説明。これにより、捜査官は手を使わずに情報にアクセスし、脅威に迅速に対応できるようになると主張した。同氏は、ICE職員への暴行が1400%増加したと主張したが、この数値は他の報道で疑問視されている。

2026年国境安全保障展示会で明らかになった計画

この計画は、2026年の国境安全保障展示会でエリストン補佐官が発表した内容に基づく。参加者の一人、アメリカン・フレンズ・サービス委員会のケニー・モリス氏によると、エリストン補佐官は「ウェアラブルHUD(ヘッドアップディスプレイ)」の導入を検討していると述べた。

Mobile Fortifyの実態:2億人の顔データベースと即時照会

Mobile Fortifyは、ICE職員の業務用携帯電話にインストールされており、対象者の顔をスキャンすると、2億件の顔画像データベースと照合。その結果、氏名、国籍、生年月日、在留資格番号(通称「エイリアン番号」)、および国外退去命令の有無などの情報が即時に表示される。404 Mediaが入手したマニュアルによれば、ICEは対象者がスキャンを拒否できないと認識しており、実際に誤認逮捕の事例も報告されている。

DHSの公式見解と今後の展望

DHSの広報担当者は、現時点でスマートグラスへの資金拠出は決定されていないと説明。しかし、2024年12月にリークされた予算書には、DHSが「スマートグラスの試作機を含む革新的ハードウェアの導入」を計画していると記載されていた。ICEは、この技術が現場の捜査官の安全性向上に寄与すると主張しているが、プライバシーや人権団体からは強い懸念が示されている。

技術の拡大と社会的影響

ICEによる監視技術の拡大は、トランプ政権下での大規模な強制送還キャンペーンの一環と見られている。404 Mediaは、これまでにICEと税関・国境警備局(CBP)がMobile Fortifyを使用して米国の街頭で市民の顔をスキャンしていた事実を報じてきた。また、同アプリが誤認逮捕を引き起こした事例も確認されている。

「スマートグラスが実現すれば、捜査官は手を使わずに情報にアクセスできるようになり、現場での対応力が大幅に向上する」
– ローレンス・エリストンICE補佐官

関連する技術と法的課題

  • 顔認識技術の精度向上とプライバシー侵害のリスク
  • 政府機関による監視技術の拡大と市民の権利保護
  • スマートグラスの導入がもたらす捜査官の安全性と人権のバランス
出典: 404 Media