ドイツ・デュッセルドルフ在住の男性が、研究者によって遠隔操作されたロボット芝刈り機の攻撃を受けた。実験では、セキュリティ研究者アンドレアス・マクリス氏が米国からドイツにいる被験者の胸に200キロのロボット芝刈り機を乗り上げさせ、刃が接触する寸前で停止させるという危険なデモンストレーションが行われた。

実験の様子を記録した動画では、男性が「地面に横たわっていると、機械が私に向かってくる。突然胸に乗りかかってきた」と語り、研究者が緊急停止ボタンを押すまでの数秒間が映し出されている。この実験は、米国のセキュリティ研究者がドイツにいる被験者を遠隔から操作し、Yarbo社製ロボット芝刈り機の重大なセキュリティホールを実証する目的で行われた。

実験に使用されたYarbo社のロボット芝刈り機は、草刈り機能に加えて刈り込み機能を備えたモデルで、総重量は200キロに及ぶ。研究者は「この機械が制御不能になった場合、人命に関わる危険性がある」と指摘し、同社のセキュリティ対策の甘さを強調した。

ロボット芝刈り機のセキュリティリスクが浮き彫りに

Yarbo社のロボット芝刈り機は、Wi-Fi経由で遠隔操作が可能なIoT機器の一種だ。しかし、実験により、機器のセキュリティが脆弱であることが明らかになった。研究者は「機器の認証システムが不十分で、第三者による不正アクセスが容易に可能だ」と指摘している。

このようなIoT機器のセキュリティリスクは、近年ますます深刻化している。2023年には、世界中でIoT機器を標的としたサイバー攻撃が急増し、多くの被害が報告されている。特に、屋外で使用される機器は、物理的な被害を引き起こす可能性が高く、そのリスクは計り知れない。

メーカーの対応と今後の課題

Yarbo社は今回の実験結果を受け、セキュリティ対策の見直しを迫られている。同社の広報担当者は「顧客の安全を最優先に考え、セキュリティ強化に取り組む」とコメントした。しかし、具体的な対策内容については明らかにされていない。

専門家は「IoT機器のセキュリティ対策は、メーカーだけでなく、ユーザーも注意を払う必要がある。機器のファームウェアを常に最新の状態に保ち、不審な動作を発見した場合は直ちに使用を中止することが重要だ」と指摘している。

「この実験は、IoT機器のセキュリティリスクを可視化するために行われた。今後、同様のリスクが他の機器でも発生する可能性があるため、業界全体でセキュリティ対策を強化する必要がある」
— アンドレアス・マクリス氏(セキュリティ研究者)

この事件を受け、ドイツの消費者保護団体は、Yarbo社に対し製品の自主回収とセキュリティアップデートの実施を要請している。今後、同社の対応が注目される。

出典: The Verge