CISAがAnthropicのMythos Previewへのアクセス権を保持せず
米国の重要インフラ防衛を担うサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)が、Anthropicの新型AIモデル「Mythos Preview」へのアクセス権を保持していないことが、関係筋への取材で明らかになった。その一方で、他の政府機関は既にこのモデルを活用しているという。
AI駆動型サイバー攻撃への対応が遅れる懸念
CISAは銀行や発電所などの重要インフラのセキュリティ強化を担う米国の最重要サイバーセキュリティ機関だが、AIを悪用したサイバー攻撃の脅威が高まる中、その対応力に疑問符が付いている。AnthropicはMythos Previewの公式リリースを見送り、代わりに40社以上の企業・組織に提供。これらの組織はモデルを活用してシステムの脆弱性を特定し、セキュリティ強化に取り組んでいるが、CISAはそのリストに含まれていないという。
政府内の動向とCISAの現状
先月にはAnthropicの関係者がCISAと商務省に対し、Mythos Previewの機能について説明を行ったとされる。商務省傘下のAI標準・イノベーションセンターは既にモデルをテスト中で、国家安全保障局(NSA)も利用している。その一方で、国防総省はAnthropicを「サプライチェーンリスク」と位置付けている。
CISAの現状について、同庁の暫定責任者ニック・アンダーセン氏は先週の公聴会で「リソースは望ましい水準を下回る」と発言。トランプ政権下ではCISAの予算削減が進められており、2025会計年度には最大7億700万ドルが削減される見通しだ。既に職員の3分の1以上が離職し、数百万ドル規模の資金が失われている。
国家サイバー局と財務省が交渉中
国家サイバー局のショーン・ケアンズ局長は、他の政府機関と同様にCISAへのMythos Previewのアクセス権獲得に向けた交渉に参加。財務省も同様の動きを見せている。現時点でモデルへのアクセス権を持つ組織の多くは、自社ネットワーク内の脆弱性発見に活用しているという。
今後の注目点
重要インフラ事業者はこれまで、脅威インテリジェンスの共有やセキュリティ戦略の優先順位付けをCISAに依存してきた。しかし、CISAがMythos Previewへのアクセス権を保持していない現状は、同庁の機能低下と相まって、業界全体のセキュリティ体制に影響を及ぼす可能性がある。
「AI駆動型攻撃の脅威が高まる中、CISAのリソース不足は深刻な問題だ。政府機関間の連携強化が急務だ」
– 関係筋
CISAとAnthropicの広報担当者はコメントを拒否した。