米国防総省は11月12日、軍人に対し、インフルエンザワクチンの接種を義務付けない方針を発表した。国防長官ピート・ヘグセス氏は動画メッセージで、「インフルエンザは軍の戦力維持に脅威を与えない」と述べ、個人の判断に委ねるとした。
しかし、この発言は歴史的事実に反している。1918年のスペイン風邪パンデミックでは、米軍人2万人以上が死亡し、数十万人が入院した。当時、軍人の死亡率は一般市民を上回り、軍事力の低下だけでなく、経済にも深刻な影響を及ぼした。歴史家によると、米軍人の最大20%が感染したとされる。この経験を踏まえ、米軍は以後、インフルエンザワクチンの開発と普及に取り組んできた。
軍事専門家らは、ワクチン接種義務の廃止が軍の健康維持と戦闘能力に与える影響を懸念している。特に、感染症が流行する冬季に向けて、集団免疫の維持が困難になる可能性がある。また、軍隊内での集団感染は、部隊の即応態勢を損なうリスクも指摘されている。
米国では、軍人のみならず一般市民に対しても、インフルエンザワクチンの接種が推奨されている。しかし、軍隊特有の環境下では、感染症の拡大リスクがより高まるため、ワクチン接種の義務化は軍事戦略の一環として重要視されてきた。
今回の方針転換について、軍医療関係者からは「軍の戦力維持に関わる重大な判断ミス」との批判も上がっている。今後、軍内での感染拡大が懸念される中、この決定がどのような影響を及ぼすのか注目される。
出典:
STAT News