米国のトランプ政権は17日、中国政府系組織が米国の先端AIモデルを「意図的かつ産業規模の大規模キャンペーン」で複製・窃取していると非難した。
ホワイトハウス科学技術政策局のマイケル・クラツィオス局長は同日、連邦政府機関幹部宛てのメモで、主に中国国内の組織が代理アカウントを使用して検知を回避し、AIモデルの「脱獄」を試みていると指摘。これにより、米国のAIモデルから機密情報を抽出し、独自の能力を複製していると述べた。
「蒸留攻撃」の手法とは
クラツィオス局長によると、攻撃者はAPI経由で米国の独占的AIモデル(例:Claude、Gemini)に数百万回の問い合わせを行い、その挙動を再現するデータセットを構築する「蒸留攻撃」を実施。これにより、米国のAI能力に匹敵するモデルを低コストでリリース可能としている。
さらに、この手法はAIモデルの出力を「イデオロギー中立で事実追求的」に保つためのガードレールを無効化する危険性も指摘した。
北京訪問への影響
この非難は、トランプ大統領が来月北京を訪問し、経済的譲歩や米中関係の再構築を目指す中で発表された。米中のAI競争は対立色を強め、両国関係の緊張を高める要因となる可能性がある。
業界の反応
OpenAIとAnthropicは今年初め、中国企業(DeepSeek、Moonshot AI、MiniMaxなど)が自社モデルに対する大規模な蒸留攻撃を実施していたと発表していた。
背景と長期的リスク
米国は長年、中国によるサイバー諜報活動の一環として、米企業の知的財産窃取を非難してきた。2024年には、元GoogleエンジニアがAIの機密情報を中国企業2社に提供したとして起訴されている。
クラツィオス局長は、蒸留モデルの能力は長期的には信頼性に欠けると主張。「検知・軽減技術の向上に伴い、こうした脆弱な基盤でAI能力を構築した外国勢は、モデルの完全性と信頼性に自信を持てなくなる」と述べた。
今後の対策
トランプ政権は今後、米国のAI企業に対し、これらのキャンペーンに関する情報(使用された手法など)を共有し、民間セクターの防御体制強化を支援する方針だ。