米国の難民受け入れプログラム停止で滞留続く

アフガニスタンがタリバンに制圧されて4年以上が経過した現在も、米国の難民受け入れプログラム(USRAP)と特別移民ビザ(SIV)を待つアフガニスタン人が宙ぶらりんの状態に置かれている。米国務省は2021年8月のアフガニスタン撤退時に、最終審査のためカタールのキャンプ・アッ=サイリヤ(CAS)にアフガニスタン人を移送したが、2025年1月に当時のトランプ政権がUSRAPを停止し、同年末にSIVの発行を終了したことで、移送が事実上凍結された。

CASに滞在する1,100人以上の現状

CASには現在、アフガニスタン国軍特殊作戦コマンドの元隊員や米軍関係者の家族、そして400人以上の子どもたちが滞在している。米国務省は当初、アフガニスタンへの自主帰還を促す経済的支援を提示したが、CASの閉鎖が3月31日に迫る中、他国への受け入れ先を模索していた。4月22日、ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、米政府はCASの滞在者をコンゴ民主共和国(DRC)へ移送する交渉を行っているという。

コンゴ民主共和国への移送計画に批判相次ぐ

国際救援委員会(IRC)が2026年に発表した「新たな人道危機のリスクが最も高い20カ国」ランキングでは、コンゴ民主共和国は7位にランクされている。アフガニスタンもリストに含まれているが、上位10位には入っていない。#AfghanEvacの代表を務めるショーン・ヴァンディバー氏は4月22日の記者会見で、この計画について「再定住計画ではない」と述べた。再定住には「永続的な法的措置」「コミュニティのインフラ整備」「受け入れ国政府の同意と受け入れ能力」が必要だが、コンゴの首都キンシャサではいずれの条件も満たされていないと指摘した。

元米大統領ジョー・バイデン政権の国家安全保障担当副補佐官を務めたジョン・ファイナー氏は4月23日の記者会見で、「CASにいる家族たちは無審査で来たのではない。米国で最も厳格に審査された法的移民だ」と語った。CASの機能は「戦時中の約束を果たすためのもので、機能していた。何千人もの審査済みのアフガニスタン人とその家族を受け入れてきた」と述べた。また、CASの再開には「政策判断だけが必要」とし、現在の計画は「米国の信頼を損なう悪い戦略だ」と批判した。

滞在者からも不安の声

CASに滞在する人々からは困惑と絶望の声が上がっている。USRAPの申請者の一人は、このニュースに対し「混乱し、希望を失った」と語った。また、2018年からSIVの審査遅延をめぐる訴訟を続けている難民支援プロジェクト(IRAP)によると、米政府はこれまでSIVの審査を9カ月以内に完了するとしていたが、実際には大幅に遅れているという。

専門家が指摘するコンゴ移送のリスク

  • 人道的危機のリスク:コンゴ民主共和国は内戦や紛争、疫病の流行などにより、既に深刻な人道危機に直面している。IRCのランキングでは7位にランクされており、新たな危機の発生リスクが高いとされている。
  • 法的保護の欠如:再定住には永続的な法的地位が必要だが、コンゴ政府がアフガニスタン人を受け入れる法的枠組みを整備する見込みはない。
  • コミュニティの不在:アフガニスタン人コミュニティが存在しないため、社会的支援や統合が困難になる可能性が高い。

「米国が約束を果たさないことは、今後他国が米国を信頼しなくなることを意味する。これは戦略的なミスだ」
— ジョン・ファイナー(元国家安全保障担当副補佐官)

今後の展望と課題

米政府はCASの閉鎖期限である3月31日までに代替案を示す必要があるが、コンゴ移送計画は多くの課題を抱えている。支援団体や元米政府高官らは、米国がアフガニスタン人との約束を守るためにも、CASの再開や他の安全な第三国への受け入れを検討すべきだと主張している。一方で、米国内の政治的な対立や難民受け入れに対する世論の分断も、解決を難しくしている。

出典: Reason