米国土安全保障省(DHS)の移民拘禁オンブズマン事務所(OIDO)が2025年3月21日、突然の廃止を発表した。同事務所の幹部職員であったアリソン・ポズナー氏は「職務削減通知」を受け取り、5月23日付でDHSから離職することとなった。OIDOは移民拘禁施設における虐待や不当な扱いを監視する独立機関で、110人以上の職員が60日間の行政休職に追い込まれた。
ポズナー氏は2009年にDHSに入庁し、移民帰化局(USCIS)で勤務した後、2019年に設立されたOIDOの立ち上げに尽力した。OIDOはICE(移民・関税執行局)やCBP(税関・国境警備局)の施設を独立監視し、被拘禁者の権利侵害を調査する役割を担っていた。同事務所はICEやCBPから独立した立場ながら、国土安全保障長官に直属し、他の監視機関(CRCLや監察官室)と連携していた。
OIDOの最大の特徴は、拘禁施設に常駐する職員が直接被拘禁者から相談を受け、即時対応していた点だ。ポズナー氏は「これまでのシステムでは、被拘禁者がワシントンの機関に書面で申立てを行う必要があったが、OIDOでは現地の職員が毎週または隔週で施設を訪問し、直接話を聞いていた」と述べた。「私たちの取り組みは順調に進んでいたが、今や誰もその役割を果たしていない。それが非常に残念だ」
しかし、ドナルド・トランプ前大統領の再登板後、OIDOは段階的に機能を奪われ、今回の廃止に至った。廃止により、移民拘禁施設の独立監視体制が完全に消滅したことで、人権団体や元職員らは深刻な懸念を表明している。
OIDOの廃止は、移民拘禁施設における人道的危機が悪化する可能性を示唆する。同事務所は全国100以上の拘禁施設(民間運営・州・地方自治体所有を含む)に職員を配置し、事前通知・無通知の双方で施設を監査していた。その役割は、被拘禁者の安全と権利を守るために不可欠だったが、現在はその全てが停止している。
「私たちの取り組みは順調に進んでいたが、今や誰もその役割を果たしていない。それが非常に残念だ」
— アリソン・ポズナー(元OIDO幹部職員)
専門家らは、OIDO廃止が移民拘禁施設における虐待の温床となる可能性を指摘。特に、トランプ政権下で再び強化される移民政策の下、拘禁者の権利侵害が深刻化する懸念が高まっている。