米国食品医薬品局(FDA)は、向精神薬の規制緩和を発表したが、その実効性には疑問が残る。同局の官僚主義的な承認プロセスは、食品や医薬品の安全性評価において長年批判されてきた。例えば、冷凍ラザニアの分類に関する9ページにわたる規制など、その恣意性は明らかだ。

ジョージ・メイソン大学の経済学者アレックス・タバロク氏は、FDAの承認プロセスが新薬の導入を遅らせる傾向にあると指摘する。悪い薬の承認は被害者が明確だが、良い薬の却下は「見えない墓場」に葬られる人々を生む。同氏は「FDAは承認を遅らせるインセンティブを持っている」と述べている。

規制緩和の動きとその限界

共和党政権下では、新薬承認の迅速化が重視されてきた。しかし、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健社会福祉長官のもとで、FDAは科学的根拠に基づかない判断を下すようになった。例えば、介護施設にゼリーや無害な食品の提供を禁止するなど、一見すると不可解な規制が目立つ。

その一方で、トランプ政権の健康政策は、これまで禁止されていた物質に対する規制を緩和する動きも見せている。最近では、タバコやニコチン製品(電子たばこ、スヌース)の一部フレーバーについて、成人の喫煙習慣改善を目的に承認を検討する方針を発表した。また、大麻の再分類も行われたが、その実効性には疑問が残る。

向精神薬規制の見直しと課題

最新の動きとして、連邦政府は重度の精神疾患の治療を目的とした向精神薬の規制障壁を撤廃する大統領令を発表した。これにより、依存性の低い向精神薬(例:マジックマッシュルーム、エクスタシー)がスケジュールIIIに再分類され、臨床試験の迅速化が期待される。しかし、これは法的な合法化や非犯罪化とは程遠く、FDAの実効的な運用が今後の課題となる。

専門家は、向精神薬を認定された治療計画の一環として使用することで、幅広い治療効果が期待できると指摘している。一方で、規制緩和が単なる「お墨付き」に終わらないためには、FDAの透明性と実効性の向上が不可欠だ。

出典: Reason