米国のドナルド・トランプ大統領の下で食品医薬品局(FDA)長官を務めていたマーティ・マカリー氏が、政策を巡る政治的対立により19日、辞任した。
マカリー氏は食品安全、医薬品、タバコ、ワクチンなどの規制を通じて公衆衛生の向上を担うFDAの長官として、今月に入り、トランプ大統領から若年層の支持獲得につながるフレーバー付き電子タバコの承認を迫られた。しかし、マカリー氏はこれに抵抗。その後、FDAは新たな方針を発表し、タバコ・電子タバコ業界に対し、電子タバコの販売を事実上容認する措置を講じた。
また、マカリー氏は反体制派からの批判にも直面していた。同グループは、ほとんどの妊娠中絶に使用される流産薬ミフェプリストンについて、対面診療の義務付けを撤廃したFDAの承認を撤回するよう求めていた。今月上旬、連邦裁判所が全国的な対面診療の義務付けを命じたが、最高裁は先週、一時的に遠隔診療と郵送によるミフェプリストンの処方を認める決定を下した。
FDA長官の空席、トランプ政権の混乱続く
今回の辞任により、CDC(疾病対策センター)長官やロバート・F・ケネディ・ジュニア氏の健康省における外科医総監のポストが未だ空席となっているトランプ政権にとって、さらなる空白が生じることとなった。また、トランプ大統領はこれまでにも、パム・ボンディ元司法長官やクリスティ・ノーム元国土安全保障長官など、自身の意向に沿わない要職者を更迭してきた。
トランプ大統領は19日午後、中国訪問に先立ち記者団に対し、マカリー氏の辞任について「難しい状況にあった。優秀な医師で、今後も活躍するだろう。誰もがその職を望んでいる」と述べた。
マカリー氏の政策と経歴に対する批判
マカリー氏はトランプ大統領からFDA長官に起用された際、反体制派の支持を得るために迅速な政策転換を約束したとされる。しかし、その実績は批判にさらされてきた。例えば、昨年3月に行われたマカリー氏の承認審議の際、母体ジャーナルのジュリアンヌ・マクシェーン記者は、マカリー氏がフォックスニュースの元司会者タッカー・カールソン氏とのインタビューで、科学的根拠よりも数週間早く胎児が子宮内で痛みを感じると主張していたことを指摘した。
こうしたマカリー氏の姿勢は、トランプ大統領やその支持者らにとって十分なものではなかったとされる。
Politicoによると、FDAのカイル・ディアマンタス副長官が次期長官代行に就任する見通しだが、ディアマンタス氏や今後任命される長官がトランプ政権の意向に沿った政策を推進するかは不透明だ。