ワシントン・ナショナル・オペラは、トランプ前大統領とその同盟者によるジョン・F・ケネディ・センターの掌握を回避し、独立した新たなオペラ団体として再出発して以来、順調な成長を遂げている。同オペラ団は70年の歴史を持つが、昨年、ケネディ・センターからの脱退を余儀なくされた。

しかし、その困難な移行期にもかかわらず、同団体は再生に成功しつつある。ニューヨーク・タイムズによると、芸術家やスタッフを失うことなく、新たな体制で再スタートを切ったという。フランチェスカ・ザンベロ芸術監督は「芸術家もスタッフも誰一人失わず、給与や福利厚生も維持されました。全員が団結して取り組んできました」と語った。

再生の背景と課題

再出発にあたり、資金調達の難しさはあったものの、同時に「ゼロからオペラ団を立ち上げる」という自由も得られたという。ザンベロ監督は「自由は得られたが、資金調達は困難を極めた」と振り返る。

今シーズンの公演数は前シーズンより増加したが、各公演の上演回数は減少した。これは、会場の確保が難しく、すでに他のイベントで予約が埋まっているためだ。また、予算は昨年の2500万ドルから来年には3000万ドルに増加したが、これは会場のレンタル費用や政府補助金の喪失、スタッフの削減に伴うコスト増加が要因となっている。

ティモシー・オリアリー総監督は「新たな会場では上演可能な週数が限られ、収益を生む公演回数が減少するため、資金調達予算を大幅に増やさなければならなかった」と述べた。その一方で「理事会や寄付者、そして全国からの新たな支援者からの強力なリーダーシップと支援を受けている」と語った。

ケネディ・センターの現状

トランプ前大統領による干渉以前、ケネディ・センターは世界有数の芸術拠点として広く認知されていた。しかし、ホワイトハウスによる運営介入が続く中、かつての輝かしいラインナップは崩壊しつつある。昨年12月には、同センターの名称が突如「ドナルド・J・トランプとジョン・F・ケネディ記念演芸センター」に変更され、同センターを設立した法律に反する措置が取られた。

「我々は、芸術の自由と独立を守るために、この決断を下しました。今後も、その信念を貫いていきます」
— フランチェスカ・ザンベロ(ワシントン・ナショナル・オペラ芸術監督)