米軍のインド太平洋軍(INDOPACOM)を率いるサミュエル・パパロ海軍大将は、4月21日に開催された上院軍事委員会のFY2027国防権限法に関する公聴会で、ビットコインを軍事技術の一環として活用する可能性について言及した。

パパロ大将は、米国が現在ビットコインネットワーク上でノードを運用中であることを明確に認め、「ビットコインのプロトコルを活用したネットワークのセキュリティ強化と保護を目的とした運用テストを実施している」と述べた。

また、ビットコインを「暗号技術、ブロックチェーン、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)の組み合わせによる優れたコンピュータサイエンスツール」と位置付け、その軍事的有用性を強調した。特に、PoWがネットワークのセキュリティ強化だけでなく、国家権力行使の手段としても機能する可能性を指摘した。

パパロ大将は、ビットコインを「ピア・ツー・ピアのゼロトラスト型価値移転システム」と表現し、「米国のあらゆる国家権力行使を支援する技術は、すべて好ましいものだ」との見解を示した。

軍事利用に焦点を当てたビットコインの活用

注目すべきは、パパロ大将がビットコインを「金融資産」や「決済システム」ではなく、コンピュータサイエンスの技術として軍事利用するという点だ。これは、従来の政府関係者による暗号資産に関する発言とは一線を画すものであり、軍事技術としての側面に焦点を当てた初めての公式発言といえる。

また、4月22日に開催された下院サービス委員会の公聴会では、上院での発言を受けて、改めてビットコインノードの運用が確認された。パパロ大将は「現在、ビットコインネットワーク上でノードを運用しており、プロトコルを活用した運用テストを実施中」と述べた。

ビットコインノード運用の意義

ビットコインノードとは、ビットコインのソフトウェアを実行し、ブロックチェーンの完全なコピーを保持するコンピュータのことだ。主な役割は、ネットワーク上の全取引とブロックを独立して検証し、プロトコルのルールに従ってデータを中継することである。

ノードを運用することで、第三者を介さずにビットコインネットワークに直接アクセスでき、信頼性の低い環境でも安全にデータを検証できる。INDOPACOMがノードを運用することで、同軍はビットコインネットワークの第一線の参加者となり、単なる観察者ではなく、ネットワークのセキュリティ強化に貢献する立場に立つことができる。

この取り組みは、米国が暗号技術や分散型ネットワークを軍事的に活用する新たな可能性を示すものであり、特に中国との技術競争が激化するインド太平洋地域における軍事的優位性の確保につながる可能性がある。

「我々のビットコイン研究は、コンピュータサイエンスのツールとしての側面に焦点を当てている。暗号技術、ブロックチェーン、プルーフ・オブ・ワークの組み合わせは、ネットワークのセキュリティ強化だけでなく、国家権力行使の手段としても機能する可能性を秘めている」
── サミュエル・パパロ海軍大将