米国の防衛産業に新風を吹き込むスタートアップ、アンドゥリル。同社は、軍事用ドローンや自律型兵器システムを「製品」として開発し、政府に売り込むという、従来の防衛産業とは異なるアプローチで注目を集めている。
同社の製品群は、まるで「コストコ」のような展示場に並べられている。無骨なコンクリートの床、整然と並ぶ武器類——水中ミサイル、自律型潜水艦母艦、垂直発射型ドローンなど、いずれも大量生産を前提としたデザインだ。その中でもひときわ目を引くのが「フューリー」と呼ばれる自律型航空機だ。F-16など有人戦闘機と共同で飛行することを想定したこの機体は、深海の捕食者のような威圧感を放ち、見る者に不安と嫌悪感を同時に与える。しかしその一方で、軍事費への懸念や平和への願いを抱えつつも、多くの人が感じるであろう「敵対勢力よりも味方についていてほしい」という安堵感をもたらす存在でもある。
アンドゥリルのデザイン部門を率いるジェン・ブッチは、同社のビジョンをこう語る。「私たちは防衛産業の常識を覆したいと考えています。単に武器を製造するだけでなく、その見た目や使い勝手、さらには顧客体験までをもデザインするのです」。同社のデザインラボには50人のデザイナーが在籍し、武器の形状からマーケティング戦略までを一貫して手がけている。
アンドゥリルは2017年に設立された比較的新しい企業だが、その設立メンバーには、監視ソフトウェア大手パランティアとの強い関係を持つ技術者やベンチャーキャピタリストが名を連ねる。伝統的な防衛大手(ロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマンなど)が巨額の政府契約を獲得するために競争するのに対し、アンドゥリルは「政府が手放せない製品」を開発することを目指している。そのために同社は自社資金を投じ、数百億円規模の開発費をかけて、相互運用性の高い(多くは自律型の)製品群を構築。政府がその価値を認めざるを得ないような「魅力的な製品」を提供する戦略を採っている。
展示場に並ぶ武器類は、一貫した「ガンメタルグレー」の塗装と、クライスラーの「ナショナルセーフティイエロー」(世界で最も視認性の高い色の一つ)によるアクセントカラーで統一されている。この配色は、まるでスポーツブランド「ナイキ」のような洗練された印象を与え、武器に独特の存在感を与えている。例えば、13フィート(約4メートル)の水中ミサイル「カッパーヘッド」は、そのフォルムがまるで機械加工された彫刻のようだ。同社の製品は、単なる兵器ではなく、「テクノロジーとデザインの融合による次世代の軍事ソリューション」として位置付けられている。
アンドゥリルのアプローチは、防衛産業のパラダイムシフトを象徴している。同社は、戦争の未来を予測し、政府が求めるであろう技術を先行投資で開発することで、従来の「受注型」ビジネスモデルから「製品主導型」へと転換を図っている。これにより、同社は防衛産業における新たなリーダーとして台頭しつつある。