5月に入ってもテック業界の人員削減は止まらない。4月にはMicrosoftやMeta Platforms、Snapなど大手企業が相次いで大規模なレイオフを発表したが、5月も状況は変わらず、Cloudflare、PayPal、Coinbaseなどが数千人規模の削減を発表した。その背景には、AI導入の加速があるとされる。
Cloudflare、全従業員の20%にあたる1,100人以上を解雇
Cloudflareは5月7日、全世界で1,100人以上の従業員を解雇すると発表した。これは従業員数の約20%に相当する大規模なリストラとなる。共同創業者のMatthew Prince氏とMichelle Zatlyn氏が従業員向けに公開した手紙で発表された。
手紙の中で、同社はAI活用の急速な拡大がレイオフの主な理由であると説明した。過去3か月でAI活用が「600%以上増加」し、エンジニアリング、マーケティング、財務、人事などの部門で「毎日数千件のAIエージェントセッション」が実行されているという。同社の株価は発表直後から15%下落し、第1四半期の決算報告と合わせて悪影響を受けた。
Bill.com、30%の人員削減を発表
同日に、中小企業向けの財務管理SaaSを提供するBill Holdings(Bill.com)も、30%の人員削減を発表した。CEOのRené Lacerte氏は従業員向けの手紙で、同社が「AIネイティブ企業」へと転換するための措置であると述べた。
Lacerte氏は「AIファーストの世界では、アイデアの実現までの時間が大幅に短縮される」と指摘し、同社の業務体制を見直す必要性を強調した。削減は2026年の第4四半期までに実施され、約700人の従業員が対象となる。同氏は「これはビジネスのニーズを反映した慎重な判断」と述べ、AI時代に対応した効率的な運営体制の構築を目指すとしている。
Upwork、25%の従業員を削減
フリーランスプラットフォームを運営するUpworkも5月9日、従業員の25%にあたる約150人を解雇すると発表した。CEOのHayden Brown氏はブログで「AIの登場により、従来のチーム編成は時代遅れとなった」と述べた。
Brown氏は「AIのおかげで、少人数のチームでも従来より大きな成果を上げられるようになった」と説明し、今後は「より小規模で効率的なチーム編成」が必要になると主張した。解雇の通知は5月16日に行われる予定だという。
AI導入がテック業界の人員削減を加速
これらの動きは、テック業界全体でAI導入が加速していることを示している。多くの企業が、AIを活用することで業務効率を向上させ、人員削減につなげている。しかし、その一方で、AIが新たな雇用を生み出す可能性についても議論が続いている。
「AIの導入は避けられない流れだが、企業は従業員への責任を果たすと同時に、新たなスキルを持つ人材の育成にも取り組む必要がある」
テック業界アナリスト
今後の展望
テック業界の人員削減は当面続く可能性が高い。特にAIの活用が進むにつれて、業務の自動化がさらに加速し、従業員の役割や必要とされるスキルも変化していくと見られる。企業は効率化を追求する一方で、従業員の再教育や新たな雇用機会の創出に注力することが求められるだろう。