米グーグル(Google)は1日、AIを活用した未知のサイバー攻撃により、同社のソフトウェアに存在する重大な脆弱性が発見されたと発表した。この攻撃は最終的に阻止されたものの、AIがサイバー犯罪に悪用される新たな脅威の兆しを示す事例となった。
同社の研究者らが発表した報告書によると、攻撃者はAIモデルを活用して「ゼロデイ脆弱性」と呼ばれる未知のソフトウェアの脆弱性を発見し、悪用を試みたとされる。ゼロデイ脆弱性は、開発者が認識していない脆弱性であり、攻撃者がこれを悪用すると、修正が行われるまでシステムに深刻な被害を与える可能性がある。
攻撃の詳細と影響
報告書によれば、このゼロデイ脆弱性は、人気の高いオープンソースのWebベースシステム管理ツールにおいて、二要素認証(2FA)を回避する可能性があったという。ただし、攻撃者が被害者のユーザー名とパスワードを既に入手していた場合に限られる。二要素認証は多くのユーザーにとって最後の防衛線であり、パスワードが既に流出していた場合、その回避は甚大な被害につながる恐れがあった。
「犯罪者集団はこの脆弱性を大規模な攻撃に活用する計画だったが、当社の事前発見により未然に防ぐことができた」と報告書は述べている。また、この攻撃はAIを活用して発見・悪用された初のゼロデイ脆弱性の事例であり、今後同様の攻撃が増加する可能性が指摘されている。
AIのサイバー攻撃への悪用が拡大
Google脅威インテリジェンスグループの主任アナリスト、ジョン・ハルトキスト氏は「これは氷山の一角に過ぎない。この問題はさらに深刻で、今後も同様の事例が増えるだろう」と語った。
AIのサイバー攻撃への悪用は、そのコーディング能力の向上とともに拡大している。AIはコードを生成・解析する能力に優れており、企業や金融機関などで急速に導入が進んでいる。その一方で、AIが生成したコードには特有の特徴が見られるという。例えば、今回の攻撃で使用されたマルウェアには、コードの説明文である「docstring」が多用されていたほか、一部のテキストに幻覚(ハルシネーション)が見られた。また、構造化されたPython形式のコードは、LLM(大規模言語モデル)のトレーニングデータに特徴的なものだったという。
今後の対策と懸念
今回の事例は、AIがサイバー攻撃に悪用されるリスクの高まりを示すものとなった。特に先月には、Anthropic社が発表したAIモデル「Claude Mythos」が注目を集めている。同社は、このモデルが主要なOSやWebブラウザのゼロデイ脆弱性を発見できる能力を持つと主張し、限られた企業や政府機関にのみ提供している。この発表は、政府関係者やセキュリティ専門家から強い懸念を呼び起こしている。
AIの進化はサイバーセキュリティの分野においても新たな課題をもたらしており、今後ますますその対策が求められることになるだろう。