BMWは、長年独立ブランドとして存在したアルピナを、2026年1月から完全に傘下に収め、新たな独立ブランドとして再編する計画を発表した。その第一弾となるのが、5月15日にイタリア・コモ湖で開催される「ヴィラ・デステ・コンクール・デレガンス」で初公開される「Vision BMW Alpina」コンセプトカーだ。
同コンセプトカーは、アルピナの将来像を示すだけでなく、BMWとMの棲み分けを明確にする重要な役割を担う。BMWはこれまで、高性能モデルを手がけるM部門との差別化を図り、アルピナに「快適性とラグジュアリー」を重視したパフォーマンスを求めている。これは、M部門がレース志向の性能を追求するのとは対照的なアプローチだ。
アルピナはこれまで、BMWの既存モデルをベースに独自のチューニングを施した高級車を提供してきた。例えば、XB7はX7をベースに開発されたように、機械的な関連性は維持しつつも、アルピナ独自のブランドイメージを確立してきた。今回のコンセプトカーも同様に、BMWとの技術的な共通点を持ちながらも、アルピナらしい独自性を打ち出すことが期待される。
デザインの特徴:8シリーズを彷彿させるクーペスタイル
アルピナが公開した低解像度のティザー画像から、同コンセプトカーは大型のクーペで、ファストバック風のルーフラインを採用していることがうかがえる。そのシルエットは、かつての8シリーズを彷彿とさせるデザインだ。フロントは細身のライトと長いボンネット、リアは短いトランクリッドを備え、GTカーとしてのエレガンスを演出している。
このデザインが8シリーズと似ているのは偶然かもしれないが、BMWが3代目8シリーズの発表を見送ったことから、同セグメントをアルピナに委ねる意図があったのではないかとの見方も出ている。いずれにせよ、同コンセプトカーは「エレガンスとパフォーマンスの融合」を体現し、BMWがアルピナに求めるブランドイメージを象徴する存在となるだろう。
BMWとロールス・ロイスの中間に位置する新たなラグジュアリーモデル
BMWは、アルピナを通じて、BMWブランドとロールス・ロイスブランドの間に新たなカテゴリーを創出しようとしている。これにより、メルセデス・ベンツの高級ブランド「マツバッハ」に対抗する存在として、アルピナを位置付ける戦略だ。同コンセプトカーは、その第一歩となるモデルであり、今後発表されるアルピナの新モデル群が、BMWとロールス・ロイスの間を埋める役割を果たすことになる。
BMWは、アルピナとコアモデルとの差別化をさらに進める意向だ。同コンセプトカーは、既存のBMWモデルとプラットフォームやエンジンを共有する可能性が高いものの、BMWブランドとしての販売は行われない見込みだ。これは、アルピナがこれまで培ってきた独自性を維持しつつ、BMWグループ内での新たなポジションを確立するための戦略と言える。
今後数日のうちに、同コンセプトカーの詳細やアルピナの将来計画に関するさらなる情報が明らかになる見込みだ。BMWとアルピナの新たな時代の幕開けとなるこのコンセプトカーの初公開は、5月15日にイタリア・コモ湖の地で行われる。