暗号資産(仮想通貨)ウォレットと金融プラットフォームを手掛けるExodus Movement(NYSE American: EXOD)は、総合格闘技団体UFCの公式決済パートナーに就任することを発表した。同社の共同創業者兼CEOであるJP Richardson氏は、米国ネブラスカ州オマハで開催された「Exodus Summit 2025」の基調講演で、この提携を発表した。
この提携は2025年6月1日から正式に開始され、UFCが米国独立250周年記念としてホワイトハウスの芝生で開催する「Freedom 250」大会と同時に展開される。会場内のオクタゴン周りや放送スポット、来場者の足跡を活用したプロモーションなど、Exodusのブランド露出が行われる予定だ。Richardson氏は「来場者が会場に足を踏み入れると、ホワイトハウス全体にExodusのプロモーションがあふれていることに気づくでしょう」と語った。
Richardson氏はこの提携を「ブランド露出」と「信頼性」の2つの側面から説明した。金融アプリケーションにおいて信頼は単なるマーケティング指標ではなく、堅実なプロダクトの結果であると強調。消費者は自分の資産に関わるブランドには慎重になり、UFCの7億人を超える世界的なファン層がもたらす高頻度かつ高インパクトな露出が、信頼構築を加速させると述べた。この提携は複数年にわたる長期契約となる。
同社がターゲットとするユーザー層は、暗号資産に興味を持ち、若くデジタルネイティブな層。Exodusが10年以上にわたり構築してきた顧客層との親和性が高いと見込まれている。
「ウォレット」から「マネーOS」への進化
Exodusは同日開催されたセッションで、同社の最高製品責任者(CPO)であるAin Sonayen氏が、ウォレットというカテゴリーの「事実上の終焉」を宣言した。Sonayen氏は、ウォレットはスタート地点に過ぎず、ゴールではないと主張。2014年にビットコインや暗号資産への入り口としてウォレットが重要だった時代は終わったと述べた。
同社は今後、「マネーOS(Money OS)」と呼ばれる金融プラットフォームへと進化する。このプラットフォームは3つの核となる体験を中心に構築される:
- ステーブルコインによる日常決済:安定した価値の通貨を使った日常の支払い
- 暗号資産による資産保有:ビットコインやアルトコインなどの資産としての保有
- 高度なユーザー向け機能拡張:より洗練されたユーザー向けの追加機能
このプラットフォームの第1弾となるのが、新しい決済アプリ「Exodus Pay」だ。同アプリは現在全米50州で利用可能で、2026年にはグローバル展開を計画している。ユーザーはApple Pay、銀行振込、既存の暗号資産残高などから資金を入金できる。また、Visa加盟店であればどこでも支払いが可能だ。
さらに、ピア・ツー・ピア送金機能も提供され、電話番号のみで送金が可能。送金先がExodusをまだ利用していない場合でも、アプリをダウンロードすれば即座に資金を受け取ることができる。
自己管理型アーキテクチャの強み
Exodus Payの最大の特徴は、自己管理型(セルフカストディ)のアーキテクチャにある。競合する決済サービスの多くはユーザーの資金を自社のバランスシート上で管理しているが、Exodus Payではユーザーのデバイス上でプライベートキーが管理され、同社は資金の管理を行わない。この仕組みにより、規制環境の変化に対応しやすく、ユーザーにとっても資金の安全性が高まる。
また、ステーブルコイン市場は2025年初頭に3,000億ドルを超える規模に成長しており、日常決済におけるステーブルコインの利用が広がっていることも、この新しい決済アプリの追い風となっている。