シンガポールOndo Financeは5月6日、RippleXRP Ledger上で保有していたトークン化米国短期国債(OUSG)を償還し、MastercardJ.P. Morganの決済ネットワークを経由してシンガポールのRipple口座に米ドル決済が完了したと発表した。このパイロット実験は、パブリックブロックチェーン上の資産取引が銀行間決済に直結する新たな決済インフラの可能性を示すものとなった。

トークン化国債の償還から銀行口座への即時決済を実証

Ondo Financeによると、この取引は「トークン化された米国国債ファンドのクロスボーダー・クロスバンク償還」としては初のニアリアルタイム決済であった。XRP Ledger上で行われたOUSGの償還処理はわずか5秒未満で完了し、その後の米ドル決済は銀行インフラ内で処理された。

取引の流れは以下の通り:

  • 資産層(Asset leg):XRP Ledger上でOUSGの償還が記録された。
  • 指示層(Instruction leg):MastercardのMulti-Token Networkが米ドル決済の指示をルーティングし、オンチェーン取引と銀行決済インフラを接続した。
  • 現金層(Cash leg):J.P. MorganのKinexysとコルレス銀行ネットワークが米ドルをRippleのシンガポール口座に送金した。

銀行規制下の決済インフラを活用

この取引の特徴は、資産記録、決済指示、米ドル決済の各層を分離しつつ連携させた点にある。XRP Ledgerは高速な資産移転を担い、一方で米ドル決済は規制された銀行インフラ内で処理された。これにより、従来の銀行営業時間外でも決済が可能となった。

Ondo Financeは、「資産記録、決済指示、米ドル決済を分離することで、トークン化ファンド償還後の手動プロセスを不要にする」と説明している。XRP Ledgerの新しい台帳バージョンは通常3〜5秒ごとにクローズしており、高速な資産移転が可能な環境が整っている。

既存の決済インフラとの連携が鍵

このパイロット実験では、MastercardのMulti-Token NetworkJ.P. MorganのKinexysが重要な役割を果たした。Mastercardは暗号資産と従来の決済システムを橋渡しするインフラを提供し、J.P. Morganは銀行間決済ネットワークを通じて米ドルの移動を実現した。

また、Kinexysは2025年にOndo FinanceとChainlinkと共同で実施したトークン化国債決済のテスト実績があり、今回のパイロット実験に参加したことで、その技術的な信頼性がさらに高まった。

トークン化資産市場の拡大に向けた動き

Rippleは2025年6月に、XRP Ledger上でOndo Financeのトークン化米国国債をサポートすることを発表していた。この取り組みは、19兆ドル規模に成長するとされるトークン化資産市場への参入を目指すものだ。

Rippleは、XRP Ledgerを活用したリアルワールドアセット(RWA)の拡大に向け、戦略的なパートナーシップを進めている。今回のパイロット実験は、その一環として行われたものであり、トークン化資産の流動性向上と決済効率化に貢献することが期待される。

今後の展望と課題

この成功により、トークン化された有価証券の償還から銀行口座への決済までを自動化する新たな決済モデルの実現可能性が示された。今後は、より多くの金融機関がこのようなインフラを活用し、クロスボーダー決済の効率化が進むことが予想される。

一方で、規制対応やシステム間の相互運用性向上といった課題も残されている。特に、異なるブロックチェーン間や銀行間の連携を円滑に行うための標準化が求められるだろう。

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