米上院、暗号資産規制法案で歴史的審議へ

米国上院銀行委員会は5月14日、暗号資産市場を包括的に規制する法案「デジタル資産市場明確化法(CLARITY法、H.R. 3633)」の審議を開始した。同法案は米国史上最も包括的な暗号資産規制法案とされ、委員会採決に向けた動きが加速している。

審議は党派間の激しい対立と手続き上の紛糾に見舞われた。特に、5月のメモリアルデー休会前に採決が行われなければ、法案審議が一旦白紙に戻る可能性があるため、時間との勝負となっている。

共和党主導の法案、3つの柱で構成

委員長のティム・スコット上院議員(共和党、サウスカロライナ州)は、法案の3つの柱として「消費者保護」「米国イノベーションの維持」「国家安全保障」を掲げた。スコット議員は「暗号資産業界は長年規制のグレーゾーンに置かれてきた。明確なルールが必要だ」と述べ、法案の必要性を強調した。

同議員は「2025年6月から3万3000語、219ページを追加し、超党派の合意を目指した」と説明したが、共和党が全ての主張を通せたわけではないと認めた。

民主党、法案を「業界寄り」と批判

民主党のエリザベス・ウォーレン議員(マサチューセッツ州)は、法案が暗号資産業界によって書かれた「業界寄りの法案」だと強く批判した。ウォーレン議員は「消費者の関心事である食料品価格や銀行手数料ではなく、なぜ暗号資産法案に時間を費やすのか」と問いただした。

同議員はさらに、暗号資産が有権者の優先順位で最下位に位置する(1%のみが最重要課題と回答)と指摘し、法案の優先度の低さを示唆した。

ウォーレン議員、5つの重大な懸念を提起

ウォーレン議員は法案に対し、以下の5点の重大な問題を指摘した。

  • 1929年以降の投資家保護法を骨抜きにする可能性:証券法の抜け穴を作り、投資家保護を弱体化させる
  • 州レベルの消費者保護を無効化:暗号資産詐欺の横行を招く
  • 2008年金融危機の再来:銀行がリスクの高い暗号資産に過剰投資する恐れ
  • 国家安全保障上の脆弱性を悪化:暗号資産を悪用した資金洗浄の拡大
  • トランプ政権下の暗号資産汚職問題への対処なし:政権と家族による14億ドル以上の暗号資産利益獲得を放置

「大統領とその家族は昨年から暗号資産取引だけで14億ドル以上の利益を得た」とウォーレン議員は述べた。

手続き上の紛糾、採決前の混乱

審議開始直後から、民主党が提案した修正案の扱いを巡り、委員長のスコット議員とウォーレン議員の間で激しい応酬があった。民主党は10以上の修正案が「議事手続き上の理由」で却下されたと主張。その中には、麻薬カルテルによる資金洗浄防止を目指す修正案や、地域銀行の預金流出を防ぐ修正案が含まれていた。

ウォーレン議員はスコット議員に対し「誰が修正案を採用するかを決める権限を独占している」と直接批判し、手続きの公平性を疑問視した。

今後、同委員会での採決が注目されるが、党派間の溝は深く、法案の行方は不透明だ。