米半導体大手クアルコム(Nasdaq: QCOM)の株価が、米国時間9月10日のプレマーケット取引で急騰している。背景にあるのは、AI大手OpenAIとの提携報道だ。同提携により、クアルコムのCPUがOpenAI製スマートフォンに搭載される可能性が浮上した。
この動きは、AI業界における処理の主役がGPU(グラフィックス処理装置)からCPU(中央処理装置)へと移行しつつあることを示すものだ。これまでAIの発展を支えてきたのはGPUだった。GPUはもともと3Dグラフィックスや動画処理を目的に開発された専用プロセッサだが、AI時代においては大規模言語モデル(LLM)の学習や実行など、高負荷な処理に最適な性能を発揮してきた。その結果、GPU最大手のNVIDIAは世界で最も時価総額の高い企業となった。
しかし今後は、データセンターにおけるCPUの重要性がさらに高まると予想される。特に、より高度なAI処理をローカルで実行できるようになることで、CPUの役割は一層重要になる。これにより、スマートフォンなどの端末でLLMを動作させることが可能になり、GPUへの依存度が低下する見通しだ。
この流れは、クアルコムのようなCPUメーカーにとって追い風となる。実際、先週にはインテル(Nasdaq: INTC)の株価がデータセンター向けAI製品の売上拡大を受けて急騰した。クアルコムも同様に、AI分野におけるCPUの需要拡大から恩恵を受ける可能性が高い。
OpenAIのスマートフォンにクアルコムのチップが搭載される可能性
OpenAIはこれまで、ユーザーがAIと直接対話するための専用デバイスを開発しているとの噂が絶えなかった。その形状は、ペン型やペンダント型のスクリーンレスデバイスから、自社ブランドのスマートフォンまで、さまざまな可能性が指摘されてきた。
そんな中、信頼性の高いアナリストであるTFインターナショナル・セキュリティーズの郭明錤氏が、新たな情報を発信した。同氏はX(旧Twitter)上の投稿で、「OpenAIがMediaTekおよびクアルコムと協力し、スマートフォン向けプロセッサを開発中」と明かした。さらに、これらのチップはOpenAIのスマートフォンに搭載される可能性が高いと指摘した。
郭氏は、アップルを含む大手テック企業の動向をサプライチェーンの情報源からいち早く察知することで知られており、その予測の的中率は高い。そのため、同氏の今回の発言は、クアルコム株の急騰につながったとみられる。
もしクアルコムがOpenAIのスマートフォン向けプロセッサの主要パートナーとなれば、同社の業績に大きなプラスの影響を与えることは間違いない。
クアルコム株の動向と今後の展望
現時点(9月10日時点)で、クアルコムの株価はプレマーケット取引で12.5%以上上昇している。この急騰は、OpenAIとの提携報道がもたらした期待感によるものだ。
AIスマートフォンの市場が本格化すれば、クアルコムのようなCPUメーカーの存在感はさらに高まるであろう。今後、AI処理の主役がCPUへとシフトする中で、同社の技術力と市場戦略が注目を集めそうだ。