ファストカジュアルレストラン大手のチポトレ・メキシカン・グリルは、業績回復に向けた大胆な一手を打った。2025年の来店客数が4四半期連続で減少し、2026年の同店売上高成長率が横ばいと見込まれる中、同社はマーケティングのスペシャリストであるフェルナンド・マチャドを新しいチーフ・ブランド・オフィサー(CBO)に任命した。

マチャド氏はこれまで、バーガーキング(2014~2020年)でグローバルCMOとして活躍し、同社のブランド力向上に貢献。植物由来食品のNotCo(2023年就任)でも実績を残した。4月29日の決算発表では、CEOのスコット・ボートライト氏が「彼の実績は、象徴的なブランド構築と革新的なカテゴリー定義、顧客中心のマーケティング戦略にあり、チポトレのブランド力向上と顧客ロイヤルティの強化に最適だ」と語った。

斬新な手法で注目を集めるマチャド流マーケティング

マチャド氏のマーケティング哲学は「平凡な広告は無視される」というものだ。彼は「人々は日常の広告の海に慣れており、目立たなければ存在すら認識されない」と述べ、リスクを恐れずに斬新な手法を取ることの重要性を説く。その代表例がバーガーキング時代の「Whopper Detour」(2018年)だ。顧客がマクドナルド店舗の600フィート圏内にいると、アプリダウンロードで1セントのワッパーを提供するという仕掛けで、9日間で150万ダウンロードを達成した。

このほか、「Moldy Whopper」(2020年)では保存料不使用をアピールするために腐敗したバーガーをあえて公開し、Google Homeをハッキングする広告(2017年)や、元マクドナルド幹部のバックヤードグリルを設置するなど、常に話題を生み出してきた。

チポトレのブランドイメージとのギャップはリスクか

しかし、こうした斬新な手法が、チポトレの「真摯なブランドイメージ」とのミスマッチを招く可能性も否定できない。チポトレは「本物の食材」を前面に押し出した、控えめながらも誠実なイメージが強い。その一方で、マチャド氏の手法は「ベルギー王政を転覆させる」といった過激な演出や、腐ったバーガーを使った広告など、時に物議を醸すこともあった。果たしてチポトレは、このギャップを乗り越え、業績回復につなげられるのか。

同社は今後、マチャド氏の手腕に期待を寄せる一方で、ブランドの核となる「本物の食材」へのこだわりを維持しつつ、いかにして新しい顧客層を獲得できるかが課題となる。