Apple Watchは、スティーブ・ジョブズ氏の時代が終わった後に発売されたApple初の新製品だった。
「1日1個のりんごは医者いらず」という古いことわざは、りんごそのものを指していた。しかし、初代Apple Watchの発売により、ティム・クックはこの言葉を現代の健康管理という文脈で再解釈した。実際、来たる9月にジョン・テルナス氏にCEOの座を譲る際、クックの遺産を象徴するのはiPhoneやMac、AirPods、Vision Proではなく、Apple Watchが切り拓いた現代の健康技術だと言えるだろう。
クック自身も認めた健康技術への貢献
この見解を裏付けるエピソードがある。2019年、クックはCNBCの番組「Mad Money」に出演した際、将来を振り返った際のAppleの最大の貢献について問われた。その時の発言は、健康技術への強い関心を示すものだった。
「将来を振り返った時に、Appleの最大の貢献は何だったのかと問われた時、答えは明確です。それは人々の健康と生活の質の向上です」
Apple Watchは単なる時計ではなく、心拍数や運動量、睡眠の質などを計測する健康モニタリングデバイスへと進化した。これにより、ユーザーは自分の健康状態をリアルタイムで把握し、予防的な健康管理が可能になった。
健康技術の未来を拓くApple Watch
Apple Watchの発売は、ウェアラブルデバイス市場の急成長を後押しした。同社はその後も、心電図機能や血中酸素濃度測定機能など、医療機器に匹敵する機能を次々と追加してきた。これにより、Apple Watchは単なるファッションアイテムから、医療現場でも活用される可能性を秘めたデバイスへと進化しつつある。
クックの時代にApple Watchが果たした役割は、単なる製品の成功にとどまらない。それは、テクノロジーが人々の健康と福祉に貢献できることを世界に示したという点で、歴史的な意義を持つイノベーションだったと言えるだろう。