マーベル一色だった夏の興行戦略に変化
2025年の夏映画シーズン開幕を飾るのは、待望の「デビルウェアーズプラダ2」。これまで5月〜6月にかけてマーベル作品を中心とした夏の興行戦略を展開してきたディズニーが、今年はその流れを大きく変える。
これまで、マーベルは毎年5月に新作を投入し、夏の興行戦争をリードしてきた。例えば、アイアンマン(2008年5月8日)、アベンジャーズ(2012年5月4日)、アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年5月24日)、アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年4月26日)などがその象徴だ。最近では、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3(2023年5月5日)やサンダーボルツ(2025年5月2日)も同様の戦略で公開された。今年はスパイダーマン:ブランドニュー・デイとアベンジャーズ:ドゥームズデイの2大作が控えているが、いずれもマーベル作品ではない。
「スーパーヒーロー疲れ」が現実に
ディズニーが「デビルウェアーズプラダ2」を夏の開幕作に据えたことは、「スーパーヒーロー疲れ」が現実のものとなりつつある証左だ。この言葉は、特にアベンジャーズ/エンドゲーム公開から6年が経過した現在、広く使われるようになった。
スーパーヒーロー疲れを指摘する人々は、膨大な設定、次々と制作されるテレビシリーズ、DCユニバースの停滞と再編など、かつての勢いが失われつつあると感じている。彼らは、「ダークナイト」と「アイアンマン」によって始まった第三次スーパーヒーロー映画ブームは、エンドゲームで一つの区切りを迎えたと考えている。観客は今、ビデオゲーム映画やリブート作品、続編に注目を集めているのだ。
その一方で、スーパーヒーロー疲れという言葉を否定する声もある。2023年には「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3」と「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」が年間興行収入トップ10にランクイン。2024年には「デッドプール&ウルヴァリン」、2025年には「スーパーマン」が同様の成績を収めた。また、「ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップス」や「ブラックアダム」も興行的には成功を収めている。
質への転換が始まった
「デビルウェアーズプラダ2」の配置は、「量より質」への転換を示すものと言える。ケビン・ファイギ(マーベル・スタジオCEO)やジェームズ・ガン(DCスタジオCEO)も、かつてのような大量生産路線から脱却し、質重視の方針を打ち出している。
「デビルウェアーズプラダ2」は、スーパーヒーローではないが、その魅力は健在だ。前作でアンディ・サックス(アン・ハサウェイ)を演じたメリル・ストリープが再びメガホンを取り、ファッション業界の裏側を描く。観客は、スーパーパワーやマスクを纏ったヒーローではなく、リアルな人間ドラマに魅力を感じ始めているのかもしれない。
今後の展望
- マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)とDCユニバース(DCU)は、引き続き主要な位置を占めるが、かつてのような急速な展開は見られない。
- ディズニーとワーナー・ブラザースは、「質の高い作品」を重視し、観客のニーズに応えていく方針だ。
- ビデオゲームやリブート作品、続編など、新たなジャンルへの挑戦が増加する見込み。
「観客の関心は、もはやスーパーヒーローだけではない。リアルな人間ドラマや、新しいジャンルの作品に向けられつつある」
映画業界アナリスト
まとめ:エンターテインメントの多様化が進む
「デビルウェアーズプラダ2」の夏開幕作起用は、エンターテインメント業界の転換点を示すものだ。スーパーヒーロー一色だった夏の興行戦略に変化が表れ、観客の嗜好も多様化している。今後は、質の高い作品がより重視され、さまざまなジャンルの作品が注目を集めることだろう。