米国のAI安全保障政策に転機
トランプ政権が、次週の中国訪問に向けて米国のAI安全保障政策の大幅な見直しに着手している。これまで成長重視で規制に消極的だった同政権が、AIの安全性確保に向けた具体的な措置を検討し始めた。
中国との協力の可能性
米中両国がAI分野で激しい競争を繰り広げる中、軍拡競争の回避を目指す動きが出ている。ウォールストリート・ジャーナルによると、次週の北京での米中首脳会談でAIに関する公式協議が行われる可能性があり、規制枠組みの構築に向けた協力が模索されている。
ホワイトハウスの動き
経済顧問委員会のケビン・ハッセット委員長は、AIモデルの安全性審査プロセスをFDA(米食品医薬品局)の新薬承認に例えた発言を行った。「AIの安全性が確認された後でなければ、野放しにリリースされるべきではない」と述べ、新たなAIモデルに対する規制の必要性を強調した。
ホワイトハウス首席補佐官のスージー・ワイルズ氏も、AIとサイバーセキュリティに関する声明を発表。「トランプ政権は勝者と敗者を決めるのではなく、最も優れた安全な技術を迅速に展開し、あらゆる脅威に対抗することを目指す」と述べた。
規制強化への転換
これまでAI規制に対して「技術を抑圧するのではなく、育成する」と主張していた副大統領JD・バンス氏は、2025年2月のAIアクション・サミットで「AIの未来は安全性への過剰な懸念によって勝ち取られるものではない」と発言していた。しかし、ワイルズ氏の発言では「安全性」が3回も強調され、政権内の方針転換が示唆されている。
具体的な規制措置の検討
複数の関係者によると、トランプ大統領の中国訪問前に発表される可能性のある具体的な措置として、以下の3点が検討されている。
- AIとサイバーセキュリティに関する大統領令:AI技術の安全基準やリスク管理の枠組みを定める。
- 新AIモデルの展開・テストに関する規制:新たなAIモデルのリリース前の安全性審査プロセスの導入。
- AIモデル提供者に対する政府利用制限の認可・ライセンス制度:政府がAIを利用する際の制限や条件を設定する仕組み。
米中首脳会談への影響
次週の米中首脳会談では、AIに関する公式協議が行われる可能性が高まっている。両国はAI技術の軍事転用防止や安全基準の国際的な調和を目指す方向で調整を進めている。関係者によると、現在の協議は流動的で、具体的な合意には至っていないものの、軍拡競争の回避に向けた動きが加速している。
産業界との協議も進行中
ホワイトハウスでは、今週、テック企業や金融サービス業界の関係者との協議が行われており、規制の実務的な影響についての意見交換が行われている。関係者は「現在の協議はまだ流動的で、最終的な決定には至っていない」としている。
「AIの安全性確保は、米国の技術優位性を維持しつつ、国際的な軍拡競争を防ぐための重要なステップだ」
——米国政府関係者