米国のドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談が北京で行われ、2日間にわたる友好的な演出で幕を閉じた。会談最終日の金曜日に行われた非公開の庭園見学では、トランプ大統領が「これまで見た中で最も美しいバラ」と語った。習近平主席はこれに対し、バラの種を贈る意向を示した。

米中関係の「見えない亀裂」

表面的には友好的な雰囲気で進められた首脳会談だが、米中関係を取り巻く実態は厳しい。貿易や技術、安全保障をめぐる対立構造はむしろ深刻化しており、両国の関係を引き離す要因が数多く存在する。

貿易面での微妙な進展

会談では、昨年秋に合意された貿易停戦を基盤とした小規模な成果が発表された。トランプ大統領は閉幕会見で「素晴らしい貿易取引が実現した」と述べ、中国がボーイング社製200機の発注に合意したと明らかにした。米通商代表部のジェイミーソン・グリール代表は、中国が今後3年間で少なくとも年間100億ドルの米国産農産物を購入する見込みだと説明。大豆の既存契約に加えて、新たな取り決めとなる見通しだ。

また、両国は非敏感分野の貿易をカバーする「共同貿易委員会」の設立に向けた交渉も進めており、取引額は約300億ドルに及ぶとされる。

安全保障を巡る微妙な発言

トランプ大統領は米中首脳会談に関連して、習近平主席がイランへの軍事支援を行わないと発言したと主張したが、その一方で「中国はイランから多くの石油を購入しており、今後も継続したい意向だ」と述べた。首脳会談後の記者会見では、イラン問題について「核兵器を保有させたくない」「海峡の安全を確保したい」と語るにとどまった。

米政府内の対中強硬派が活発化

首脳会談に先立ち、米政府内の対中強硬派は関係改善に向けた動きを阻止するための活動を展開していた。国務省はイランへの攻撃に衛星画像を提供したとして中国企業3社に制裁を科した。財務省はイラン産原油の購入で知られる中国の「独立系精製業者」複数社に制裁を発動したが、中国側はこれに反発し、企業に米国の制裁履行を禁じる命令を出した。

ホワイトハウスのマイケル・クラツィオス科学顧問が作成した内部メモでは、中国企業による米国企業の先端AI技術の「産業規模の窃取」が指摘された。また、米司法省はトランプ大統領の北京到着2日前、中国政府の非合法エージェントとして活動していたとして、カリフォルニア州アーケイディア市長を起訴した。

米情報機関が警告する中国の動き

米政府内からのリークによると、米中の対立はさらに深刻化している。米情報機関の評価によると、中国はイラン戦争を利用して外交・軍事・経済面で米国に対する優位性を拡大しつつあるという。ニューヨーク・タイムズによれば、中国企業が第三国を経由してイランへの武器密輸を交渉しており、そのルートにはアフリカ諸国も含まれていると報じられた。

その一方で、トランプ大統領は習近平主席から直接「中国はイランへの軍事支援を行わない」との確約を得たと主張している。

出典: Axios