ホワイトハウスに9万平方フィート(約8,360平方メートル)の球技室を新設するトランプ前大統領の計画を巡り、司法省が7日に提出した法廷文書が波紋を呼んでいる。その内容は、正式な法執行機関の文書とは思えないほど過激で、ソーシャルメディアの投稿に近い文体で歴史保存団体を攻撃する異例のものとなった。
司法省は、歴史的建造物の保存を訴える非営利団体「ナショナル・トラスト・フォー・ヒストリック・プレザベーション」を「FAKE(偽物)」と表現。同団体の弁護士を「バラク・フセイン・オバマの弁護士」と揶揄し、職員らを「トランプ症候群(Trump Derangement Syndrome)」に陥っていると非難した。
さらに司法省は、球技室の即時建設が国家安全保障上の必要性だと主張。4月27日に行われたホワイトハウス記者協会晩餐会で、大統領や閣僚、報道陣らが暗殺未遂に遭う寸前だった事実を引き合いに出した。
「土曜日の出来事が如実に示すように、ワシントンD.C.には大規模で高プロファイルなイベントを開催できる安全なスペースが存在しない。特に政府の継承順位を考慮したイベントを開催できる場所はない」と主張。新施設があれば「土曜日のような事態は防げた」と強調した。
しかし、同団体の主張に対する反論はそれだけにとどまらない。司法省は、球技室が「超党派の議員から支持を得ている」と主張したが、その実態はペンシルベニア州選出の民主党議員ジョン・フェッターマン氏が数回にわたりMAGA路線を支持したに過ぎない。これは明らかな誇張表現だ。
また、球技室の建設費用は「米国民の税金負担なし」との主張も繰り返された。しかし、トランプ氏はこれまで球技室の費用を全額民間寄付で賄うと公言してきたが、今週になって議会に4億ドル(約600億円)の支出を求めている。サウスカロライナ州の共和党議員リンジー・グラハム氏が中心となり、国家公園の利用料や関税収入で費用を相殺できると主張しているが、具体的な根拠は示されていない。
一方で、球技室の代替施設として想定されるワシントン・ヒルトンホテルには、大統領専用の出入口やステージ裏の控室(大統領専用の紋章入り床面付き)など、安全対策が既に整っている。同ホテルの宴会場は2,600人以上を収容可能で、提案されている球技室よりも規模が大きい。
司法省の主張は、球技室の必要性を強調する一方で、その具体的な安全性や費用対効果については曖昧なままだ。歴史的建造物の保存と安全対策のバランスを巡る議論は、今後も続く見通しだ。