上場マイナーが記録的なBTC売却、AIへ資本転換加速

2026年第一四半期に、上場しているビットコインマイニング企業が3万2000BTC以上を売却し、過去最高の売り抜けを記録した。これは、業界最大手のマイナーが数十億ドル規模の資本を人工知能(AI)分野へ再配分していることを示すものだ。ビットコインの採掘経済モデルが崩壊の瀬戸際にある中、この歴史的な転換はネットワークのセキュリティ基盤を揺るがす可能性がある。

採掘経済の崩壊が資本シフトを加速

2024年4月のビットコイン半減期により、ブロック報酬が6.25BTCから3.125BTCに削減されたことで、採掘業界の収益モデルは根本的に見直しを迫られた。これにより、採掘コストは上昇し、収益性は低下。デジタル資産運用会社CoinSharesの調査によると、上場マイナーの平均生産コストは2025年第四四半期に1BTCあたり約8万ドルに達した。

一方で、採掘の収益指標であるハッシュプライス(1ペタハッシュ/秒あたりの日次収益)は、2026年第一四半期に28〜30ドルまで下落。これは記録的な低水準であり、多くのマイナーが経営の持続可能性に疑問を呈している。

主要マイナーの売却動向

売却規模の大きさは、資本転換の深刻さを物語っている。2026年第一四半期だけで、上場マイナーが売却したBTCは2025年通年の売却量を上回った。オンチェーンデータ分析会社CryptoQuantによると、2026年現在のサイクル開始以来、マイナーは純売却で6万1000BTCを記録。主な売却企業は以下の通りだ。

  • Marathon Digital:1万3000BTC以上を売却し、トップ3のBTC保有企業から脱落。
  • Cango:2000BTC(約1億4300万ドル)を売却し、ビットコイン担保債務の返済に充当。
  • Core Scientific:2026年1月に1900BTC(1億7500万ドル)を売却。
  • Riot Platforms:4026BTCを売却。

AI投資がビットコイン採掘を上回る可能性

上場マイナーの経営陣は、AI分野への投資が将来的にビットコイン採掘からの収益を上回る可能性があると見ている。CoinSharesの試算によると、上位10社の上場マイナーは、BTC採掘で47億〜93億ドルの収益が見込まれる一方で、長期的なAI契約からは最大41億ドルの収益が期待されるという。

この資本転換は、ビットコインネットワークのセキュリティを支える「採掘者」の役割に重大な影響を及ぼす。採掻者が保有するBTCを売却し、ハッシュレート(ネットワークの計算能力)が低下すれば、ネットワークの攻撃耐性が低下するリスクがある。

「マイナーはもはや戦略的なBTC保有ではなく、流動性の源泉としてデジタル資産を活用し始めている。これは、ビットコインの長期的な安定性にとって重大なシフトだ」
— Liam 'Akiba' Wright(暗号資産アナリスト)

今後の展望:ネットワーク安定性への影響

ビットコインの価格が8万ドルを回復しなければ、AI分野への資本流出はさらに加速する可能性がある。一方で、採掘効率の向上や新たな技術革新が、この流れを食い止めるかもしれない。

専門家らは、マイナーの資本転換がビットコインの長期的なセキュリティに与える影響を注視している。ネットワークの安定性を維持するためには、採掘インセンティブの見直しや、新たな経済モデルの構築が急務となっている。